2019/11/11

L.v.B.室内管弦楽団 第45回演奏会

L.v.B.室内管弦楽団 第45回演奏会
2020年3月20日(金・祝日) タワーホール船堀大ホール
13:30 開場 14:00 開演

指揮:
 苫米地 英一

独奏:
 西山 早紀

曲目:
 L.v.ベートーヴェン /
 バレエ音楽《プロメテウスの創造物》 作品43より序曲
 ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58
 交響曲第3番変ホ長調『英雄』 作品55

入場料:
 全席自由1,000円(前売800円)
 前売りチケットはイープラスにて取り扱い→購入サイトへ

お問い合わせ:
 メールでのお問い合わせ
 050-5892-6765(事務局)

会場アクセス:
 都営新宿線船堀駅下車、徒歩約1分

(お客様へのお願い事項)
・政府等により広報されている感染症対策を実施ください
・発熱、体調不良でのご来場はお断りいたします(ぜひ次回にご来場ください)
・入場受付について簡略化させていただきます
 チケットもぎり・招待状回収は行いません
 プログラムはお客様にてお取りください(手渡しは見合わせていただきます)
 当日券販売はお釣りのないようご準備ください
・出演者への花束、プレゼントはご遠慮ください
・良識あるマナー、エチケットをお願いいたします

演奏会アンケート:こちらより回答いただけます

生誕250周年として各地で取り上げられている楽聖ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。交響曲「運命」「第9」、ピアノ協奏曲「皇帝」をはじめ、管弦楽や室内楽に数多くの名作を残した天才の作品から、第1回演奏会以来何度も取り上げてきた「エロイカ」を再演。
ナポレオン・ボナパルトに献呈される予定が彼の皇帝即位の報を知り、「ある英雄の思い出のために」と書き足された逸話はあまりに有名な代表作。
もはや語るまでもない交響曲の歴史を変えた一曲。

ピアノ協奏曲第4番でも楽聖は新たな試みに挑戦する。
協奏曲と言えば長短あるもののまずオーケストラが主題提示をしてから独奏がはじまるのがセオリー。しかしこの作品では独奏楽器が冒頭から演奏を始める新しい試みがなされる。

演奏会の1曲目は序曲「プロメテウス」。
初期の作品で知名度も低い、2曲しかないバレエ音楽のひとつ。
物語と音楽と踊りの融合を目指した作品は興行的には失敗したが、のちに交響曲第3番の第4楽章でも用いられる「エロイカ変奏曲」と呼ばれる音楽が盛り込まれベートーヴェンのこだわりの作品である。

耳の病に苦しめられながらも数々の名作を残したベートーヴェン。
常にチャレンジした楽聖の作品は現代でも常に新しい響きを奏でると評しても過言ではないだろう。


※弦楽器のメンバーを募集しています→詳しくはこちら

L.v.B.室内管弦楽団 室内楽演奏会vol.13

2020年2月2日(日) かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール
12:30 開場 13:00 開演
入場無料

曲目:
 L.v.ベートーヴェン/エグモント序曲Op.84(ホルン八重奏)
 W.A.モーツァルト/ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K.453(独奏:西山 早紀)

お問い合わせ
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 050-5892-6765(事務局)

会場アクセス:
 京成線青砥駅下車徒歩5分
  →会場アクセス(施設Webサイト)

オーケストラと室内楽をどちらも楽しんでしまおう企画第13弾!
今回はベートーヴェンの習作、二重奏曲と序曲「エグモント」をホルン八本で演奏してしまおうという試みです。ベートーヴェンやシューベルトの影響を受けミュンヘンで活躍した作曲家ラハナーの作品からはチェロアンサンブルを、そして正統派?ではハイドンの名作「五度」、モーツァルトの木管セレナーデをお送りします。
メインにはモーツァルトのピアノ協奏曲第17番。「戴冠式」に知名度では劣るかもしれませんが、豪華な宮廷の舞踏会が思い浮かぶような華麗な作品でしょう。モーツァルトマニアによればピアノ協奏曲の最高傑作とする評価もあるようです。

2019/11/08

R.シューマン / チェロ協奏曲 イ短調 作品129

何事にも定番とか人気というものがある。
なんとかランキングとか、三大なんとかと言われるとよく分からないが納得してしまうことはないだろうか。

協奏曲で三大協奏曲と言えばすべてバイオリン協奏曲で、誰が決めたかは知らないがベートーヴェン・ブラームス・チャイコフスキーの作品だ(ただし日本限定、らしい)。
一方チェロの場合は・・・どうもドヴォルザークの作品一強、対抗でハイドンとエルガーの作品が挙げられるように思う(※個人の感想です)。

しかしながらあまり演奏されないだけで、魅力的な作品はもちろんたくさんある。
例えば我々も以前選曲したチャイコフスキーの「ロココの主題による変奏曲」やサン=サーンスの協奏曲、その他にもヴィヴァルディ、シュターミッツ、ポッパー、ディーリアス、ラロなどなど(天才モーツァルトにもチェロ協奏曲があるようだが残念ながら紛失されたようだ)。

このシューマンの作品もそうした演奏される機会の少ない曲だろう(※むしろ有名だとする説もあるが個人の感想です)。

まず1回聴いてみる。

実に地味な作品だ。
記憶に残らないのが正直なところ(※個人の感想です)。
ピアノ協奏曲もチャイコフスキーなどに比べれば地味だがまだ耳に残る曲なのだ(年代によっては某特撮ヒーロー番組で使われたシーンを思い出すだろうか)。

しかしここで諦めずに、できればスコアを眺めながら何度も聴いてみるのである。
何度も聴いて主題を覚える(残る、ではなく覚えるのがコツ)といつしかこの曲の魅力が分かってくる。

そもそもシューマンとはどのような人物だっただろうか。
メンデルスゾーンほどではないがそこそこ裕福な家庭に生まれ、ピアニストを目指すも指の故障により挫折し作曲家への道を志す。
実はこの時にチェロ奏者の道も考えていたので、チェロという楽器に対する思い入れがあるのだろう。チェロソナタこそ残されていないが、室内楽曲では実に「おいしい」ところをチェロが担っている。

もうひとつシューマンを語るうえで外せないのが、クララの存在だ。
自身も当時のドイツを代表するピアニストであり、四男四女の母親であり(長男エミールは1歳で亡くなっている)、そして精神的に不安定なシューマンの創作活動を支え、シューマンの死後もその作品を演奏し普及させた偉大な人だ。
この人がいなければシューマンの活動もこの作品も残されることはなく、ということは後に続くブラームスやドヴォルザークも生まれなかったわけで、後世の人間も多大な感謝を捧げねばならないのである。

作曲された1850年はデュッセルドルフで音楽監督の地位を得た安定した時期であり、創作意欲にあふれ同時期にはヴァイオリンソナタ、交響曲第3番、レクイエムなども作曲された。

そうした背景をもとにもう一度チェロ協奏曲を聴いてみる。
悩み、嘆くような第1楽章、クララへの想いであろう愛情に満ちた第2楽章、そして「Sehr lebhaft(とても元気よく)」と指示される第3楽章では幸せな生涯を歌い上げるようだ。
デュッセルドルフへの移住もクララの賛同があってこそ実現したものであり、シューマンの愛情、感謝、そうした想いが込められた作品なのかもしれない。

しかしながら次第に精神の不安定さがあらわれてくるシューマンはこの後様々な批判に晒されることになるのだが、そんななか1853年、若きブラームスがシューマンを訪れる。
このふたりの出会いを誰よりも喜んだのはシューマン自身であろう。
楽し気な第3楽章を聴きながら、先に待つ辛い時代と新たな出会い、そんなことも考えてみるのも面白い。


この曲の演奏会
第44回演奏会

2019/10/26

W.A.モーツァルト/《劇場支配人》序曲 K.486

オケの人間がオペラを演奏してみよう、と思うとなかなか大変なのが歌い手の数や曲の時間だろう。例えば同時期に作曲された「フィガロの結婚」では、演奏時間がだいたい3時間、出演者は11人、それにちょっとだけ合唱もある。

編成の小さな曲だと、プーランクの「人間の声」などはソプラノひとりで40分ほど、などもあるのだがやっぱりモーツァルトの作品を、と思うと候補になるのがこの「劇場支配人」だろう。

正確には「音楽付きの劇」なので音楽のない場面もあるのだがオペラとして演奏するときは序曲と4つの歌曲、登場人物も4名、演奏は30分ほど。ついでに作曲期間も2週間ほどと実にお手軽である。中身は「フィガロ」「ドン・ジョヴァンニ」にも劣らないモーツァルト中期の序曲にザ・モーツァルトな歌曲なので取り上げやすい・・・と思いきや中途半端なのかほとんど演奏される機会のないのが実情だろう。

そもそも作曲の背景がフランツ2世が妹夫婦歓迎のための祝宴でサリエリとモーツァルトにそれぞれ依頼し御前で上演させた作品であって、演奏会のためのというわけでもないのでその後演奏する機会もなかったということのようだ。
とはいえ音楽だけを見れば見事なモーツァルトの作品だけ、なんとももったいない、と思ってしまう。

ストーリーは喜劇なのでなんということもなく、要するに新たな劇団立ち上げに際してオーディションを開催したところマダム・ヘルツとシルバークラングのふたりがお互いに自分がプリマドンナだと喧嘩し、最後は芸術論について全員で語る、というだけのものだが、台本は「後宮からの逃走」でも担当したヨハン・ゴットフリート・シュテファニーによる。短期間での依頼とは言え4年前の作品を超えるまでには至らなかったようだ。

この曲の演奏会
・第29回演奏会(全曲)
・第44回演奏会(序曲)

2019/07/27

J.ハイドン / チェロ協奏曲第1番ハ長調Hob.VIIb-1より第1楽章(チェロ六重奏版)

ハイドンは全部で6曲のチェロ協奏曲を作曲したといわれているが、紛失や偽作のため今では2曲が残っている。1番は1961年にプラハで楽譜が発見され、一気に知られるようになり、今ではチェロレパートリーとして定着している作品。今回はその1番より第1楽章をチェロ六重奏版でお届けする。

第1楽章は協奏風ソナタ形式の楽章、ソロとトゥッティを鋭く対比させており、バロック時代のリトルネロ形式の痕跡が残る。
オーケストラのトゥッティでCdurの和音から華やかに躍動感ある第1主題が演奏され、第2主題は第1ヴァイオリン(1stチェロ、2ndチェロ)を中心として緩やかに下降する。再度トゥッティで小結尾のメロディが演奏され、オーケストラの呈示部が終わる。続いて独奏呈示部になり独奏チェロが登場する。

展開部では,まず属調で両主題と小結尾のメロディが演奏され、続いて独奏チェロが技巧的に呈示部の素材を発展させていく。再現部も独奏チェロ中心に進行し、カデンツァの後、トゥッティによる華やかなコーダで結ばれる。

2019/07/23

C.サン=サーンス / 動物の謝肉祭(木管五重奏版)

世の中の数ある曲の中には、それが意図するかしないかはさておき「子どもでも聴くことができるクラシック音楽」というものが存在しています。
この動物の謝肉祭も、子どものためのコンサートで演奏されるのをいくつか目にしたことがありますが、動物にちなんだ楽曲のタイトルが一見「わかりやすく」思われるのと、14曲ある曲が全て2分程度以内で終わる…(余談ですが、某国営放送局の幼児番組の歌も1曲2分程度で終わるのがほとんど)というのがその所以なのでしょう。

元々は批評家たちの非難により疲れてしまったサンサーンスが、滞在していた友人のチェロ奏者のホームコンサート向けに(気晴らしの意味も含めて)作った組曲です。
単純な「子ども向け」の枠に収まるものではなく、自分を攻撃した批評家や世相への皮肉や既存の曲のパロディがたっぷり含まれており、本人の意図もあり生存中は発表・出版はされませんでした。(ただし、生粋の自作曲である白鳥は生前に発表も出版もされています) 

とはいえ、この曲のテーマとして描かれる「動物」達は大変魅力的で老若男女問わずとっても親しみやすい曲となっております。
本日取り上げる木管5重奏版も含め様々な編成での編曲もあり、(作曲家の意図に反して?)多くの場面で演奏される「クラシックの名曲」として親しまれています。
序奏から終曲までたくさんの動物が出てきます。ライオン、にわとり、亀、象、カンガルー、耳の長い動物(ぜひ想像してみてください!もしかしたら件の「耳の肥えた」批評家たちを皮肉っているのかも。。。)、カッコウ、ヒト(ピアニスト)、ガイコツ(化石)、白鳥…ちなみに、本来は一緒にいるはずであったラバはどこかに走って逃げてしまい、水族館はホールなので水槽持ち込みの許可を得ることができず、大きな鳥籠は空っぽになってしまいましたとさ。

この曲の演奏会

2019/07/18

F.プーランク / ピアノ、オーボエとファゴットのための三重奏曲 FP.43

「モオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない」

近代日本の文芸評論家、小林秀雄は著書「モオツァルト・無常ということ」で語っています。
短い生涯で紡がれた作品群には、ト短調で作られた名曲が3曲…交響曲第25番・第40番・弦楽五重奏曲第4番。先の言葉は弦五の第一楽章についての著述ですが、今回プログラム最後にお届けする25番は、まさに「疾走するかなしみ」そのものが冒頭から駆け抜けるよう。

プーランク(1899-1963)は生粋のパリジャンで、フランス6人組のなかでもミヨーと並び日本でも親しまれている作曲家であり、ピアニストでもあります。
声楽・室内音楽・管弦楽・宗教的楽劇・オペラ・バレエ音楽、と多様なジャンルの楽曲を作曲し、その作風から「軽妙洒脱」「ガキ大将と聖職者が同居している」「天真爛漫なメロディー、あふれるユーモア、そして表面上のオトボケの向こう側に、ためらいがちな悲しみが漂う」、そして親しみやすく旋律豊かな「フランスのモーツァルト」とも評されます。
が、共通しているのは、親しみやすい旋律…だけではない面もあります。
前述の「モオツァルトの疾走するかなしみ」。
これにプーランクを重ね、『疾走するアレグロによって、都会人の孤独や憂愁を描くことができたのは、モーツァルトと、他にはただひとり、プーランクのみ』という評もあるようです。
奇しくも今回のプログラムで その「疾走するかなしみ」モーツァルトのト短調のシンフォニーと、プーランクのアレグロを通り越してプレストに加速している現代人のかなしみとの両方を同時期に取り組んでいることで、この「モーツァルトとプーランクのみ」という評を「なるほど、うまいことをいうなあ!」と感嘆しながら、確かに他に無い、高揚感を伴う そのかなしみを味わい楽しんでいます。

プーランクの方が景色や場面が目まぐるしく変わるのは、馬車の時代と自動車の時代の違いでしょうか。
この曲の作曲は1926年、プーランク27歳ながら比較的初期の作品。第一次世界大戦の後の戦間期。カフェ、映画、電話、キャバレー、シャンソン、アール・デコ、ワインとタバコとコーヒー。
喧噪の街を笑いながら駆け抜けるかと思えば、カフェで誰かと向き合って、目を見ながらアツく語ったり、はたまた そっと目を伏せながら語ったり。
そんな場面が映画のワンシーンのように浮かんでは流れていくようです。

急-緩-急の3つの楽章から成り、第一楽章 Prestoは、呼びかけ語りかける序奏のあとから、まさに目まぐるしく疾走。
若者の夜は忙しいですね。
第2楽章 Andanteは「特にこの楽章がたまらなく好き」という声も多い、胸を打つメランコリックな旋律が美しい曲。
一転して第3楽章 Rondoは、この曲を献呈しているファリャの《恋は魔術師》のメロディがテーマとして使われているのも特徴的で、中間部では18歳から3年間従軍していた経験を思い起こさせるようなミリタリー風の表現もみられます。
完成し献呈されたときファリャは健在で、本曲をとても気に入ったと伝えられています。

ピアニストであり、また歌と詩をとても好んだプーランクですが、管楽器への愛着も見逃せません。
室内楽曲の一覧には、管楽器のための作品が圧倒的に多くみられます。このトリオでは、珍しく洒脱な装いで夜の街に繰り出すダブルリードの2人を、遊びなれたピアニストがエスコートしていきます。洒落っ気、快活、軽やか、洗練、ユーモアとヒューマニティ、そしてメランコリィのひしめくパリの、なんともいえず楽しい音楽です。


この曲の演奏会

2019/07/16

F.メンデルスゾーン-B / ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 作品49

メンデルスゾーンと同じ時代に活躍したシューマンに「ベートーヴェン以来、最も偉大なピアノ三重奏曲」と言わしめた、メンデルスゾーンの作品の中でも最も人気のある一曲。メンデルスゾーンはモーツァルトに負けず劣らずの天才であったと言われ、また同じく夭逝した作曲家でもあり、この曲も彼の短い人生の中では後半に書かれている。

1楽章:冒頭チェロの奏でるメインテーマで静かに始まり、様々に形を変えて発展する。再現部では高音から降りてくるヴァイオリンの対旋律が美しい。

2楽章:ピアノと弦が対話する、素朴な無言歌。メンデルスゾーンの代名詞ともなっている無言歌だが、当時彼の名を借りて活動していた姉ファニーの考案とも言われている。(実はファニーの方が才能があったという説もある)
3楽章:軽やかに駆け抜ける、明るいスケルツォ。
4楽章:どこか民族的な印象を受けるフレーズが絶え間なく繰り返される。初版から第2版に改訂された際に大きく手が加えられ、ピアノのヴィルトゥオーゾ(超絶技巧)要素が強くなった。

シンプルな曲構成を理由に室内楽の入門曲として取り上げられるが,一方で圧倒的な音数にピアニストが頭を抱える曲としても有名。自身もピアノの名手であったメンデルスゾーンこだわりの一曲となっている。

2019/07/15

F.クライスラー / ベートーヴェンの主題によるロンディーノ・L.v.ベートーヴェン / ロンド ト長調 WoO.41

オーストリア出身のヴァイオリニスト、フリッツ・クライスラーは幼少より「神童」呼ばれ、一時は医学を学んだり陸軍でも昇進するなどの意外な面もあったりする。
活動の場はヨーロッパからアメリカに移り、ハリエット・リースと結婚すると彼女の敏腕マネージャとしての支えが音楽家としての大成の一因ともなったらしい。
演奏だけではなく作曲家としてもいくつかの作品を残しており、「愛の喜び」「中国の太鼓」などはヴァイオリン教室の発表会でのレパートリーとしても親しまれている。

作曲した曲には●●の様式(主題)と名付けられてものが残されており、のちにこれらの作品はクライスラーのオリジナルであることが公表された。
当時はそれなりに騒動になったようだが、現代でもそのままのタイトルで演奏されている。クライスラーは旅行先で発掘・発見した知られていない曲を取り上げたり、先達の様式とした作品により古典作品への関心がおきたりと賛否あるエピソードだ。

そんな中、この「ベートーヴェンの主題によるロンディーノ」は実際に編曲元となる作品がある。
何曲かあるベートーヴェンの「ロンド」のうち、その中でもっとも知名度がないであろうWoO.41がそれにあたる(WoOとはWerke ohne Opuszahl=Works without Opus number、つまり作品番号のない作品の意味)。
原曲はどちらかと言えばピアノの比重が高い作品であるが、確かに同じ主題をもつ曲であることはすぐにわかる。
作曲が1792年であるからハイドンに弟子入りをしたころ、Opus付きの作品であればOpus1となるピアノ三重奏などと同時期にあたるが作曲の背景などの情報はあまりない作品で、おそらくは習作として残した作品と思われる。

クライスラーが発見(採用?)しなければもっと知られることのなかったであろう作品であるが、きっとこうした作品を重ね1798年にはヴァイオリン・ソナタ第1番Op12へとつながったのかと若きベートーヴェンの姿を思い浮かべてみるのは悪くない小品だ。

2019/07/11

R.シューマン / 4本のホルンのためのコンチェルトシュテュック

音楽史上はロマン派前期にあたる1820年代〜1840年代は、産業革命の影響を受けて、楽器製造に対しても数々の技術上の革新が現れた時期でした。
中でも、ホルンやトランペットを始めとする金管楽器は、バルブ装置の発明により、いくつかの音しか出せない信号ラッパ(※1)の延長から、弦楽器や木管楽器と同じく自由に音階を奏でられる楽器へと進化を遂げ、作曲家の音のパレットは大きく広がりました。

(※1 バルブ装置のない金管楽器を自然(ナチュラル)管と言います。ベートーヴェンやモーツァルトの時代の作品はほぼ全て、自然ホルン(トランペット)を想定して書かれています。ちなみに、本日最後のプログラムのモーツァルトの交響曲第25番では、複数の管長の自然ホルンを組み合わせて、自由に音階を奏でられない楽器にメロディを演奏させようとした作曲家の工夫が楽譜に記されています。バルブホルンで演奏する現代のオーケストラでは、その技巧を直接耳にすることは困難で、ただホルンがぎこちなく聴こえてしまうだけかもしれません)

そうした金管楽器、特にホルンの変化に大きな関心を持った作曲家に、シューマンが挙げられます。彼の作曲した交響曲(※2)では、曲により、または楽章により、バルブホルンと従来の自然ホルンを組み合わせて使用することで、表現の広がりを企図していることが確認できます

(※2  第3番「ライン」など。これも現代のオーケストラでは ... 以下略)


シューマンは、黎明期のバルブホルンの為に、2つの独奏曲をプレゼントしました。
そのうちの1つが、「アダージョとアレグロ op.70」(チェロ等の独奏版でも有名)であり、もう1つが本日演奏する「4本のホルンと管弦楽のためのコンチェルトシュトゥック op.86」です。

本曲は、新しい楽器の可能性を前にした作曲家の興奮と想像力の高まりが楽器の、そして演奏者の限界を超えてしまったかのように、4本の独奏ホルンに大変難しいソロパートが与えられており、中でも1番ホルンは後年のR.シュトラウス(※3)やストラヴィンスキーもかくや、という高音域を「ほぼ休みなく」演奏しなくてはいけません。

(※3 本曲で数回登場する最高音のAの音は、R.シュトラウスの「家庭交響曲」での使用例がありますが、通常のオーケストラ曲ではまず使用されません)

アマチュアでの演奏も、そしてピアノ伴奏での演奏も珍しいのですが、素晴らしいピアノ奏者をお迎えしてお送りする本日の演奏、ピアノ独奏(※4)で聴きたかった、と思われないように、シューマンの独特の詩情と、時々現れる狂気と隣り合わせのような祝祭的な雰囲気をホルンのハーモニーで奏でたいと思います。どうかお楽しみください。

(※4ちなみに本曲には作曲家自身によるピアノ協奏曲版もあります)


この曲の演奏会

2019/07/06

W.A.モーツァルト / 交響曲第25番 ト短調 K. 183 (173dB)

映画「アマデウス」は1984年ともう30年以上前の作品で、サリエリとの確執を題材にモーツァルトを描きアカデミー賞を受賞した。もちろん映画なので様々な演出があるわけだが、モーツァルトをあまりに奇抜な人物として表現した作風は一部のファンからクレームがあったらしい。
サリエリもこの映画ですっかり悪役の印象を持たれてしまったが実際にはモーツァルトを評価し、その他にも音楽家を支援したりした人物で、最近になってようやく作品も評価されてきた。そのあたりはお話の演出として、クラシック愛好家としてはネヴィル・マリナーがアドバイザーとして参加したこと、さまざまに使われた作品のうち導入部でのこの交響曲第25番の印象が記憶に残っているのではないだろうか。

モーツァルトの短調と言えばやはりト短調で、この第25番はのちの第40番と比較されるように41曲のうちわずか2曲の短調の交響曲だ。
「小ト短調」などと呼んだりもするが、天才肌の作曲家にしては感情むき出し、情熱的な曲調が長く愛されている。冒頭は「アマデウス」だけではなくTVでもしばし用いらているのでどこかで耳にすることも多いのだが、編成が小さいだけにアマチュアオーケストラではあまり取り上げられず全曲を通して聴く機会は第40番と比べると少なくなる。
しかしながら演奏してみると情熱的な1楽章にはじまり、牧歌的な2楽章、決意を示すような3楽章からフィナーレ、どれもそれまでの作品とは一線を画し、演奏をしていても鳥肌が立ってしまうような名作だ。

引退間際の作曲家が悟りの境地で残したのではなく、これを18歳で書いてしまうのだから本当に”天才”と呼ぶにふさわしい人だとまたしても唸らせれてしまう。

この曲の演奏会
室内楽演奏会vol.12

2019/07/02

A.ドヴォルジャーク / ピアノ四重奏曲第1番 ニ長調 Op. 23

スメタナ、フィビヒと並んで、ボヘミア楽派を創始、確立した大作曲家であるドヴォルジャーク(1841年9月8日 - 1904年5月1日)。交響曲の分野でも、ブラームス、ブルックナー、チャイコフスキーにつぐ19世紀の後半では有数の作曲家の一人であったが、室内楽に関してはブラームスにつぐ当時、第2の大作曲家であったといえる。ドヴォルジャークは室内楽を最初の交響曲よりも4年も前から書き始め(1861年)、9つの交響曲を書き終えた後もなお2年半あまりの間(1895年)、室内楽の作曲を続けた。その間に書かれた室内楽曲は、完成された形で現存する多楽章の作品だけでも32曲にのぼる。

その中から今回はピアノ四重奏曲第1番をお届けする。この曲は1875年に作曲されたものであるが、これまでのシューベルト、ワーグナー、リスト、スメタナなどの影響を受けた作風から、ドヴォルジャーク独自の良さが発揮されるようになった時期である。この頃ドヴォルジャークはオーストリア政府の芸術家のための国家奨学金の受賞者に選ばれており、不安定な生活から脱却できただけではなく、審査員のブラームスから才能を見出されその後の人生に大きく影響を与えた転機となる時期でもあった。


第一楽章 Allegro moderato
冒頭からメロディーメーカーとして面目躍如な導入は美しく、しかしどこか寂しさ、愁いを含む。全曲を通して劇的な盛り上がりを聴かせるのではなく、牧歌的な美しさ、望郷の思い、そしてふと思い出す旧友とのエピソードが感じられる。

第二楽章 Andantino, con Variazoni
変奏曲形式となっており、5つのバリエーションとコーダから成り立っている。民族音楽的なテーマが、それぞれのバリエーションで美しくかつ異なる表情を体験させてくれる。
第三楽章 Finale
優雅な美しいメロディと活気ある急速なテンポを伴う曲調が交互に現れる、気分の変化の表現を特色とするスラブ民謡の形式を用いた楽章となっている。終盤は弦パートとピアノが異なる拍子で音楽が進み(2/4と6/8、その後入れ替わり6/8と2/4になる)、巧みな遊び心のあるエンディングとなっている。

2019/06/20

L.v.B.室内管弦楽団第44回演奏会


L.v.B.室内管弦楽団第44回演奏会



2019年11月10日(日) ルーテル市ヶ谷教会
17:30 開場 18:00 開演

指揮:
 苫米地 英一
 ※出演者の都合により変更となりました

独奏:
 印田 陽介

曲目:
 W.A.モーツァルト / 歌劇≪劇場支配人≫ 序曲 K.486
 R.シューマン / チェロ協奏曲 イ短調 作品129
 L.v.ベートーヴェン / 交響曲第2番 ニ長調 作品36


入場料:
 全席自由1,000円(前売800円)
 前売りチケットはイープラスにて取り扱い→イープラスのサイトへ

お問い合わせ:
 メールでのお問い合わせ
 050-5892-6765(事務局)

会場アクセス:
 JR 総武線 市ヶ谷駅 地上出口 徒歩7分
 都営地下鉄 新宿線 市ヶ谷駅 A1出口 徒歩7分
 東京メトロ 有楽町線・南北線 市ヶ谷駅 5,6番出口 徒歩2分

※弦楽器のメンバーを募集しています→詳しくはこちら

2019/03/23

L.v.ベートーヴェン/交響曲第1番 ハ長調 作品21

作品番号1番や第1番というのは作曲家にはやはり特別なものなのだろうか。

有名なところではブラームスの交響曲第1番。
完成までに20年を要したことは、この曲がいかに重要なものだったかという証だろう。

天才モーツァルトはどうだろう。
K.1のピアノ曲は5歳の時なので、感慨とかはやはりないだろうか。
交響曲第1番は8歳の時の作品。
天才はきっとさらりと作曲しただろうが、ジュピターのテーマはやがて最後の第41番でも用いられる特別なものだ(しばしジュピターのアンコールで用いられる)。

ベートーヴェンは作品番号が付くまでWoO(ドイツ語で作品番号なしの作品の意)を書きあげ、作品番号1はピアノ三重奏、それからOp2-1ピアノソナタ、Op5-1チェロソナタ、Op12-1バイオリンソナタ、Op15ピアノ協奏曲、Op18-1弦楽四重奏と来てOp21がようやく交響曲の第1番だ。
こうして並べてみると破天荒な性格に見えるベートーヴェンだが実直に、少しずつレパートリーを作り上げて交響曲へとつながっているようだ。

もともとピアノ奏者からはじまるベートーヴェンだし交響曲作曲家などまだなかった時代であろうから、交響曲そのものに思い入れがあったのかはなんともだが、それでもハ長調で書きあげられたこの曲はモーツァルト最後の交響曲、「ジュピター」との関連を想像させる。

「ジュピター」交響曲は古典に限らず音楽の最高峰だろう。
笑っているのか、泣いているのか、その時、演奏者によって様々な顔を見せ、バッハとはまた違う意味で“神様の音楽”だ。
終楽章のフガートは永遠に続いてほしいと思うのだが、やがて終演を迎え、神様の時代が終わる。
そして10年の時を要しこのベートーヴェンの第1番が生み出されると、最初のハーモニーと共に”人の音楽の時代”がはじまる。
そんな妄想をしてみたりする。

序奏部は本来であればハ長調のハーモニーから始まるものだが、属七の和音から焦らされて不安定な調性が続くところも、古典の終わりを予感させているようだ。
短い序奏が唐突に終わり快活な提示部へ突入すると、あとはベートーヴェンの世界だ。
第2楽章ではややハイドンを思い起こしながら(この時まだ存命であるが)、第3楽章では後のスケルツォ楽章を予感させる速いメヌエット。
そしてロンド楽章の終楽章はまだ「ハイドンの影響を感じさせる」と言われながらもベートーヴェンらしい力強さで奏でられる。まだ「闘争と勝利」のような輝かしいフィナーレではないところが、若きベートーヴェンの作品として安心して聴くことができたりもする。


ここから第9の完成までは約24年の年月を待つ。
当時の人々は当然その完成を知ることはないわけだが、もしこの時代にタイムトラベルしたとしたら、なんとも待ち遠しい時間になりそうだ。


この曲の演奏会
第43回演奏会

2019/03/16

R.シュトラウス / 13管楽器のためのセレナード 変ホ長調 作品7

R.シュトラウスと言えば、「薔薇の騎士」「ドン・ファン」「ツァラトゥストラはかく語りき」などなど大編成オーケストラで豪華絢爛な音楽、それから歌曲のイメージがあるだろうか。
実際、室内楽や協奏曲は初期にいくつかあるだけで演奏される機会はそう多くないかもしれない。
そんな中で、この「セレナーデ」は作品番号の通り初期の10代のころの作品だが「R.シュトラウスの代表的な室内楽曲」としてよく演奏され、彼の名を世に知らしめた出世作でもある。

「セレナーデ」とはもともとは女性を想って夜にリュートを鳴らすような音楽で、遡ると古代ギリシアの時代から続く音楽、らしい。
もっとも有名なセレナーデはなんと言ってもモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」だろう。この曲は野外での演奏ではなく、演奏会のための管弦楽曲の形式となりつつある時代で、のちにブラームスが作曲した2つのセレナーデも夜を想う音楽、というよりは古典的な形式の管弦楽曲、と言えるだろう。

一方でこのリヒャルトの作品は(どこの時代にするかにもよるが)本来の、夜に意中の女性を想って、というテーマで作曲されている。具体的にだれを、というのはないようだが、10代の若者が恋するとしたらご近所、あるいは親戚筋の年上の女性、などとは小説の読みすぎだろうか。
純粋に音楽を楽しむには邪道かもしれないが、恐妻家として後に知られるリヒャルトの若かりし頃を想像しながら聴くのもまた楽しみとなる曲である。

ところで、「セレナーデ」は日本語では「小夜曲(さよきょく)」と書くことがある。
昔は「アイネ(ある)・クライネ(小さな)・ナハト(夜の)・ムジーク(音楽)」の訳と習った記憶なのだが、現在ではセレナーデ一般を指すようだ。
先達たちはなんとも詩的な名前をつけたものだといつも感心させられる。

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第43回演奏会

2019/03/09

J.ブラームス/ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 作品102

ブラームスの交響曲と言えば4つの個性を持った作品が知られている。
完成に20年を要した第1番に始まりどの曲も魅力的であるが、第4番終楽章の集結はまさにブラームスの集大成・・・とするにはいささか早かったりする。

第4番を作曲後にブラームスは第5番の作曲に取り掛かったとされているが、紆余曲折を経て協奏曲、それも独奏楽器を2つもつ作品へと仕上げられたのがこの二重協奏曲だ。

複数の独奏楽器を持つ作品はバロックでは合奏協奏曲として多く見られていた。
バッハの2つのヴァイオリンやオーボエとヴァイオリンのための作品、ヴィヴァルディの調和の霊感、コレルリの合奏協奏曲「クリスマス・コンチェルト」などなど。
しかし時代とともにオーケストラ奏者と独奏者の分業化が進んだためか、古典以降はあまり作曲されず一般的なアマチュアオーケストラの選曲ではモーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲ぐらいだろうか(マイナーなところではハイドンの協奏交響曲やベートーヴェンのトリプルコンチェルト、ショスタコーヴィチのピアノとトランペットのための作品があるが・・・)。

交響曲第5番あらため二重協奏曲とされたのには逸話があり、ブラームスの友人ヨアヒムとの不仲と、和解のためブラームスが作曲中の第5番の助言を求めたことによる。
手紙の中で「ヴァイオリンとチェロのための協奏曲の着想を得た」と残しているようだが、この時期にはチェロソナタOp.99も作曲され、詩人でありチェロ奏者でもある友人ヴィトマンの影響がありあながち逸話ともいえない(ヴィトマンは「ブラームスの回想録」にもエピソードを残しているが、ブラームスとイタリア旅行に行く仲の良い友人だ)。

やがて2つの独奏楽器をもつ交響的作品、そしてブラームス最後の、と冠の付く大管弦楽のための作品として残されているが、聴衆からの評価は賛否あり、クララは「ある意味で和解の曲」と評したが実のところあまり好意的ではなかったようだ。

苦悩や対立を込められたかのような第1楽章はこの曲の半分近くを占める。
チェロからはじまる独奏は、最初はお互いが背を向けるような展開をし、近づいたら離れたりと緊張感に支配される。
短い第2楽章では昔を懐かしむような穏やかな曲へと変わり、次第に融和しながら終楽章へと向かい、最後の終楽章はユーモアに満ちた楽しげな楽章。クララはきっとこの楽章を聴き和解と呼んだのではないだろうか。

しかしである。
男女の仲とは違い男同士の友情というのはいさかか面倒な時もあり、ブラームスとヨアヒムの超一流同士だからこそ競い合うような関係、それはクララが「華やかではない」「未来がない」としたこの曲の評価そのものであるように思う。

確かにベートーヴェンの「闘争と勝利」のようなわかりやすさ、ブラームスの交響曲の印象的な、そしてヴァイオリンやピアノの協奏曲の(クララの言う)華やかな結末は確かにわかりやすく、演奏者も聴くほうも感動し満足できる展開だ。

しかしながらこちらは、50を過ぎたおやじ二人の喧嘩と和解の物語だ。
長々とした謝罪の言葉とか、後悔の告白とか、ハッピーエンドの演出など無粋である。
喧嘩した、きっかけがあった、酒を飲んだ、以上。
「ギムレットには早すぎる」のハードボイルドでよいのである。


ちなみに協奏曲を目指したが交響曲に収まったエピソードを持つ作品と言えば、ベルリオーズがパガニーニの依頼で作曲した「イタリアのハロルド」だ。
こちらは破局の曲として知られており、その点でも対極的な関係である。


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第43回演奏会

2019/02/26

L.v.B.室内管弦楽団 室内楽演奏会vol.12

2019年7月28日(日) かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール
12:30 開場 13:00 開演
入場無料

曲目:
 F.メンデルスゾーン-B / ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 作品49
 F.クライスラー / ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
 L.v.ベートーヴェン / ロンド ト長調 WoO.41
 J.ハイドン / チェロ協奏曲第1番ハ長調Hob.VIIb-1より第1楽章(チェロ六重奏版)
 F.プーランク / ピアノ、オーボエとファゴットのための三重奏曲 FP.43
 R.シューマン / 4本のホルンのためのコンチェルトシュテュック
 C.サン=サーンス / 動物の謝肉祭(木管五重奏版)
 A.ドヴォルジャーク / ピアノ四重奏曲第1番 ニ長調 Op. 23
 W.A.モーツァルト / 交響曲第25番 ト短調 K. 183 (173dB)

1984年の映画「アマデウス」は病床のサリエリが告白するモーツァルトとの確執を題材にし、アカデミー賞8部門を受賞した名作です。
プラハで撮影が行われ、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」が初演された劇場が使われたりネヴィル・マリナーが指揮のアドバイザーになるなど演出も話題となりました。
ただモーツァルトがあまりにも奇行の目立つ人物とされたり、多くの作曲家を育てモーツァルトを評価していたサリエリが殺した、との演出は物議をかもした作品です。

そんな「アマデウス」の冒頭で用いられたのが交響曲第25番。
モーツァルト得意のト短調で作曲されたこの交響曲の印象的な導入部はTVCMなどでも用いられ、どこかで聴いたことのあるクラシック音楽でしょう。

他にもメンデルスゾーンの「メントリ」と呼ばれるトリオ、クライスラーの作品で知られるものの原曲は忘れ去られたベートーヴェンのロンド、サン=サーンスの動物の謝肉祭など古典からロマン派までお楽しみください。

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 050-5892-6765(事務局)

会場アクセス:
 京成線青砥駅下車徒歩5分
  →会場アクセス(施設Webサイト)

2019/01/31

F.C.ホミリウス / ホルン四重奏曲変ロ長調 Op.38

Yamaha Horn YHR-314II
ホルンという楽器の音は、独奏もさることながら、4人で奏でるハーモニーで真価を発揮します。
奏者も1人で吹くよりもアンサンブルの方が大好き(?)。
練習の合間に集まっては楽譜を持ち寄って、即席アンサンブルをする場面も珍しくありません。

そんなホルンアンサンブルの定番の一つが、このホミリウス作曲のホルン四重奏曲です。
作曲者のC.ホミリウスはドイツに生まれ、後半生には主にロシアで活動したホルン奏者です。
晩年にはサンクトペテルブルグ音楽院で教鞭をとり、後進を育てました。
彼の残したホルン四重奏曲は、ホルン奏者にとってはどのパートも演奏しやすく、そして音楽的にも充実した楽譜となっており、ホルンのこと、そしてその奏者のことを知りつくした人物が書いたにふさわしい作品です。

ホルン奏者以外にはなかなか知られていない作品ですが、演奏会の幕開け、どうか楽しんで聴いて頂ければ幸いです。

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2019/01/30

B.マルティヌー / 調理場のレビュー H.161

ボフスラス・マルティヌー(1890.12.8 - 1959.8.28)はチェコ出身でパリやアメリカで活躍した作曲家です。
本作は、1927年に作曲されたバレー音楽で、この組曲は作曲者自身がアレンジしました。 

この時代のマルティヌーはパリでフランス6人組(デュレ、オネゲル、ミヨー、タイユフェール、プーランク、オーリック)に刺激を受け作風も大きな影響を受けたといわれてます。

曲のタイトルの「調理場のレビュー」とうのも、なんとも楽し気なタイトルで、このバレエに登場するのは、人物ではなく、調理場の料理用具たちとなっています。
編成も他には見られない作品で、トランペットにとっては数少ない室内楽作品です(トランペットの使い方は、サンサーンスの7重奏の影響も感じさせます) 。
曲はI.Prologue、II.Tango、III.Charleston、IV.Finalの4楽章からなってます。

20世紀前半の新古典主義の香りを感じ取っていただければ幸いです。

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W.A.モーツァルト / セレナード第12番 ハ短調 K.388 (384a) 『ナハトムジーク』

モーツァルト唯一の短調セレナードである第12番「ナハトムジーク」は、自筆稿や父親に宛てたいくつかの手紙によると1782年に書かれたものだと言われています。
またバロック時代に意外に多く作られていた短調の音楽に刺激と影響を受け、それ以来モーツァルト自身も短調作品を多く書くようになったという、いわば作曲家人生のターニングポイント的な作品でもあります。 

4つの楽章で構成されているこの曲は、1楽章→疾走感のあるソナタ形式 2楽章→美しい旋律の緩徐楽章 3楽章→カノンのメヌエット 4楽章→主題を伴う変奏曲形式 という、まるでひとつの交響曲といってもおかしくない構成ですが、あくまでもこちらは“セレナード”、サロンでの夜会で聴かせるような曲ですのでモーツァルト特有の軽やかさ溢れる音楽となっています。 

しかし、冒頭のハ短調の悲愴的な和音(まるで某作曲家のソナタの冒頭のような…)には、さぞかし当時の聴衆も動揺したのではないでしょうか。
ただご安心を、すぐにモーツァルトらしい前向きでコミカルな音楽が繰り広げられます。どうぞ、夜会に参加した気持ちでお聴きください。

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2019/01/29

W.A.モーツァルト / ファゴット協奏曲 変ロ長調 K. 191 (186e)

Edgar Degas - The Orchestra at the Opera - Google Art Project 2クラシックのジャンルは交響曲、管弦楽曲、歌劇、バレエ、室内楽などがあり、「協奏曲」も多くの作品が残されている。

花形といえばやはりバイオリン協奏曲で、ベートーヴェン・ブラームス・チャイコフスキー、それにメンデルスゾーンを加えた四大協奏曲やヴィヴァルディの「四季」などは毎日世界中で演奏されている曲目だろう。
続くのはピアノ協奏曲なのだが、そのほかの楽器となるとぐっと作品数を減らし、演奏機会も少なくなる。コントラバスやチューバ、ティンパニなどは数えるほどだ。

隠れた名作は多いのだろうが、アマチュアオーケストラの選曲ではやはり「定番」に集中してしまうことになり、必然マイナーな曲はなかなか演奏機会がないということになる。

ファゴットはオーケストラでも独特の音色で多くのソロパートを受け持つ楽器だ。
低音楽器のイメージがあるが音域が広く、多様な音楽を担当することができ、「ファゴットの活躍する曲」の好みで長く語らうことができるだろう(個人的にはデュカスの「魔法使いの弟子」をおすすめ)。

協奏曲は作品数ではヴィヴァルディが30曲以上残しているのだが、ファゴット協奏曲と言えばやはりモーツァルトだ(異論あり)。

モーツァルトは比較的多くの楽器の協奏曲を残し、ファゴット協奏曲も1曲残している(他にもあったようだが譜面は失われ、「オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットと管弦楽のための協奏交響曲」という作品もあるがこちらは偽作とされる)。

作品番号であるケッヘル番号が100番台であることから分かる通り若いころの作品で、ザルツブルク時代に18歳で作曲されている。
同時期の作品ではソプラノと管弦楽のための作品である「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」K.165、映画「アマデウス」で使われた交響曲第25番K.183、番号は前後するがヴァイオリン協奏曲第3番K.216・第5番「トルコ風」K.219などが作曲されている。

曲は約20分弱で、ファゴットのひょうきんなキャラクターを表すかのような主題の1楽章(ハトポッポの曲、などと呼んだりもする)に始まる。キャラクターと明るいメロディー、技巧的なパッセージと様々な魅力を引き出す楽章だ。
第2楽章はモーツァルトらしいロマンス。明るいイメージ第1楽章から、月の夜、男女の出会い、そんなイメージが届く音楽に代わる。オーケストラのヴァイオリンやオーボエとのかけあいが物語性を強調していく。
終楽章はメヌエットのロンド楽章。
一転して小さな宮廷の舞踏会のような世界に移る。1楽章の明るさ、2楽章のロマンスとの対比はモーツァルトならでは。
モーツァルトのロンド楽章はどうしてどの曲も名曲なのかとため息ばかりがでる。

ちなみにこの作品は同じく低音楽器であるチェロで演奏する試みは古今行われていたようだが、モーツァルトがあまりにファゴットの魅力を引き出したため悉く失敗したようで、アルフレート・アインシュタインからは「ファゴットのための純正なコンチェルト」との言葉が残されている。

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室内楽演奏会vol11

2019/01/28

D.ミヨー / パストラーレ Op.147

Darius Milhaud 1923第一次世界大戦後のパリで活躍した、反ドビュッシー主義的性格をもつ「6人組」。
プーランク、オネゲルらと6人でミヨーのアパートに入り浸ってはバカ騒ぎする「年齢、友情、活動」の結びつきでの仲良しの集まりで、実は音楽的論議を戦わせるようなギラギラした場ではなく、6人といっても誰でもよかったらしいという話もあります(「ここにイベールの名があったって全くおかしくなかった」ミヨー談)。
ミヨー43歳での本作は、トリオ・ダンシュ(オーボエ、クラリネット、ファゴットによる、リード楽器のみでの三重奏)のために書かれました。
時は1935年、作品番号は147番…稀にみる多作家にして生涯なんと443作品を残しています。

マルセイユ生まれ・プロヴァンス育ちのユダヤ人。
ブラジルと米国で過ごした時期もあり、ラテンやジャズも積極的に取り込んでいます。
カラリと明るい陽光のような豊富な旋律が持ち味、更にそれらをいくつも同時に固有の調整で進行させつつ重ねる妙技(いわゆる多調性、複調性)の和声的効果が印象的です。
ハーブ薫る南仏の田園風景、葦の三重奏をお楽しみください。

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2019/01/23

L.v.ベートーヴェン / 弦楽三重奏曲第1番 変ホ長調 Op.3

ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven,1770-1827)が弦楽四重奏曲を書き始める前に、彼は5曲の弦楽三重奏曲を作曲している。
そして、弦楽四重奏曲を書き始めた以後は、弦楽三重奏曲1曲も書かれていない。

つまり弦楽三重奏曲は、彼にとっては弦楽四重奏曲への道程たるに過ぎなかった。
しかしこの曲はピアノとチェロのためのソナタ(Op.64)に編曲されており、弦楽三重奏曲の中でも彼にとって会心の作品だったようだ。

この作品の作曲年代については正確な記録はないが、1796年にウィーンのアルタリア社から出版されているので、この頃の作品と思われる。ハイドンの許で作曲のレッスンを受けていた頃である。

この曲の構成は6楽章からなっており、当時のディベルティメントの形である。
作風からいえばモーツァルトの影響が認められる全体的にすっきりとした印象。

今回はこの中から抜粋して、第1,2,3,6楽章をお届けする。

Ⅰ. Allegro con brio
Ⅱ. Andante
Ⅲ. Menuetto. Allegretto
Ⅳ. Adagio
Ⅴ. Menuetto. Moderato
Ⅵ. Finale. Allegro

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J.ブラームス / クラリネット五重奏曲 ロ短調 Op.115

1890年秋、57歳を迎えたブラームスは既に勲章や故郷ハンブルク名誉市民の称号を贈られるなど、栄光の頂点に立ち、名声も不動のものとなっていた。
しかし、保養地イシュルで遺言書を作成するなど自身の身辺整理や創作活動からの引退を考えていた。 この時、ブラームスは友人にこう書き送っている。

「私は、もう年をとりすぎたと思うし、精力的にはなにも書かないと決心した。 私は、自分の生涯が十分に勤勉なもので、達成されたと思ったし、人に迷惑をかけない年齢となり、いまや平和を楽しむことができると考えた」[1]

翌1891年3月、マイニンゲンを訪れたブラームスは、宮廷楽団のクラリネット奏者であるリヒャルト・ミュールフェルトと出会う。
彼の演奏するモーツァルトの「クラリネット五重奏曲」、ウェーバーの「クラリネット協奏曲」に感銘を受けたブラームスはクラリネットのために「三重奏曲 Op.114」、「五重奏曲 Op.115」と二曲の「クラリネットソナタ Op.120」を書き残した。 特に「クラリネット五重曲 Op.115」は晩年屈指の名作で、室内楽の代表作として知られている。

第1楽章 Allegro ソナタ形式
冒頭、両ヴァイオリンによって3拍子・ニ長調を思わせる動機が提示されるが、すぐに6拍子・ロ短調をクラリネットの登場で決定的なものとする。
チェロが哀愁に満ちた第1主題を奏で、ヴァイオリンが引き継いだのち全員の強奏で副次主題を迎える。その後、クラリネットによる第2主題に引き継がれる。 冒頭の動機や副次主題を変化させた展開部を迎え、冒頭の動機を引き継いだ再現部に至る。熱狂的なコーダを迎えたのち、最後は静かにクラリネットが第1主題を奏でて終える。

第2楽章 Adagio 三部形式
クラリネットがどこか愛情と悲しみ満ちた奥深い旋律を奏で、弦楽器がそれを支え展開していく。中間部はハンガリーのロマ音楽による影響を強く思わせる。
クラリネットによるアリアが繰り返され、ブラームス自身の独白を思わせる。第1部を思わせる再現部から静かに最後を迎えるが、冒頭とはやや異なっている。

第3楽章 Andantino - Presto non asai, ma con sentimento - Andantino
後述するように意識したであろうモーツァルトの作品ではメヌエットが置かれたが、ブラームスはあえて取り入れた素早いプレスト部を含み、 変奏曲である第4楽章との対比を明確なものにしている。

第4楽章 Con moto 変奏曲形式
主題、5つの変奏、コーダからなる。哀愁に満ちた美しい主題が歌われたのち、既に原型を見出すことが難しい第1変奏をチェロが示す。
第2変奏ではさらに原型から遠ざかるが、第3変奏では再び原型に近づく。第4変奏でロ長調に転調するも、ヴィオラによって主題が奏でられる第5変奏では再びロ短調に戻る。 第1楽章冒頭を思わせる動機がクラリネットにより奏でられ、コーダで両者が融合し統一をもたらす。

ブラームスは作曲するにあたって、モーツァルトの「五重奏曲 Kv.581」を意識したであろう事は、4楽章に同じく変奏曲を置いている点だけでも伺い知れる。
その一方でロマン主義的なメロディーが曲全体に溢れていたり、終楽章で第1楽章の動機が再現する構成は「弦楽四重奏曲第三番 Op.67」や「交響曲第三番 Op.90」にも見られるブラームスを特徴づけるものである。

 [1] 門馬直美著『ブラームス』大音楽家 人と作品<10> 音楽之友社

2019/01/08

L.v.B.室内管弦楽団第43回演奏会

L.v.B.室内管弦楽団第43回演奏会

2019年3月31日(日) 川口リリア 音楽ホール
13:30 開場 14:00 開演

指揮:
 苫米地 英一

独奏:
 印田千裕・印田陽介

曲目:
 R.シュトラウス / 13管楽器のためのセレナード 変ホ長調 作品7
 J.ブラームス/ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 作品102
 L.v.ベートーヴェン/交響曲第1番 ハ長調 作品21


あまり例のない2つの独奏楽器を求めるブラームスの二重協奏曲。親友ヨアヒムとの「和解の曲」と呼ばれるこの曲はブラームスらしい難解さ? が魅力的な作品。今回は印田千裕さん・陽介さんを招き、息の合ったソリストの演奏でお届け。あわせて演奏するのはベートーヴェンの交響曲第1番とR.シュトラウスの管楽セレナーデ。ドイツの人気作曲家の、普段とはちょっと違う室内オケでお楽しみください!

入場料:
 全席自由900円(前売800円)
 前売りチケットはイープラスにて取り扱い→イープラスサイトへ

お問い合わせ:
 メールでのお問い合わせ
 050-5892-6765(事務局)

会場アクセス:
 JR京浜東北線 川口駅 西口正面

※弦楽器のメンバーを募集しています→詳しくはこちら