室内楽の分野では(ピアノ曲や歌曲を除いても)名作を多く残した、というよりは残された作品の全てが名作ですが、交響曲と同じくベートーヴェンの作品に続くことに慎重であったブラームスは弦楽四重奏ではなく、弦楽六重奏曲からまず手がけたのでした。
2曲の弦楽六重奏曲は比較的初期に作曲されています、と言いながらも彼が27歳の時の作品です。
この弦楽六重奏曲という編成は実は珍しく、ブラームスの2曲の他にはチャイコフスキーの「フィレンツェの思い出」、シェーンベルクの「浄夜」が有名でしょうか。
ボロディンやドヴォルザークも作品を残していますが、あまり演奏される機会はないように思います。厳密には室内楽ではないのですが、リヒャルト・シュトラウスのオペラ「カプリッチョ」の前奏曲が弦楽六重奏曲となっており、こちらの方がアマチュアでもよく演奏されています。
編成は弦楽四重奏にビオラとチェロを1本ずつ加えていますので、よく言えば厚みのある、しかしながらやや「重い」曲となるので、演奏する側としてはそのバランスを取るのがなかなか難しいところです。
この第2楽章が有名で、悲劇的な曲調が印象的です。
映画のBGMに使われたことでも知られています。
(ルイ・マル監督「恋人たち」)
ブラームスといえば師シューマンの愛妻クララとの恋話ですが、この映画も知ってか知らずか不倫の物語です・・・。
映画に使われたブラームスというとサガンの「ブラームスはお好き」の映画版、「さよならをもう1度」でも使われています。
こちらもまた浮気をテーマとした作品ですね。。。
映画に使われたブラームスというとサガンの「ブラームスはお好き」の映画版、「さよならをもう1度」でも使われています。
こちらもまた浮気をテーマとした作品ですね。。。
そんなエピソードはともかく、曲全体はどちらかと言えば若さを感じさせながらも、この第2楽章のドラマティックで悲劇的な雰囲気が全体を引き締めているのは確かです。
特に第1楽章は(ブラームスにしては珍しいことに)若さと躍動感に溢れる曲ですので、新緑の時期の雨のイメージにとてもよく合います。
雨の日のドライブは憂鬱だな、という時にぜひぜひお試しください。
ちなみに、六重奏曲第2番では別れた恋人の未練を断ち切るために、その名前を音型に記したとの逸話があります。
堅いイメージのブラームスですが、どうも恋話に結び付けられることが多いのが羨ましい・・・もとい不思議ですね。