L.v.B.では『ペレアスとメリザンド』、『パヴァーヌ』に続く3曲目・・・だったかと思いますが、『パヴァーヌ』は本来『マスクとベルガマスク』の一曲であったりもします。
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元が教会のオルガン奏者であったフォーレの曲はどこか宗教的な純粋さと、一方で甘く時として官能的とも言えるようなメロディーという矛盾するような魅力があるような気がします。
フォーレが活躍したのは19世紀中旬から20世紀初頭となります。例によって何人かの作曲家と比較してみます。
いわゆるドイツロマン派とフランス印象派の間に位置しているようです。
- ベートーヴェン(1770-1827)
- ワーグナー(1813-1883)
- ブルックナー(1824-1896)
- ブラームス(1833-1897)
- サン=サーンス(1835-1921)
- チャイコフスキー(1840-1893)
- ドヴォジャーク(1841-1904)
- フォーレ(1845-1924)
- マーラー(1860-1911)
- ドビュッシー(1862-1918)
- リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)
- ラヴェル(1875-1937)
フォーレの書籍などを読んでみると、フォーレ自身もワーグナーに続く革新者であり、彼がいなければラヴェルやドビュッシーの音楽は生まれなかった・・・ぐらいのことは想像してしまいます。
実際ラヴェルはフォーレの教え子のようですし、ドビュッシーは時にフォーレの音楽を痛烈に批判しながらもそれなりに私的な交流はあったようで、フランス音楽界への影響は非常に大きかったことでしょう。
さて、そんなフォーレが作曲したこの『マスクとベルガマスク』はヴェルレーヌの詩を題材とした舞台音楽で、有名な『月の光』もその1曲となります。 組曲の中身はWikipediaを見ていただいた方が詳しいので割愛してしまいますが、全曲版もまた美しい曲が揃っておりますので、いつかは取り上げてみ たい曲の一つです。
組曲はガボットやメヌエットなど、古典形式の曲が含まれています。
ジーグ、パッサカリア、ブーレ・・・などどこかで聞いたことのある曲名はあるかもしれませんが、バロック時代の舞曲が用いられています。ガボットもメヌエットもフランスの踊りで、ドイツの踊りであるワルツがでてくるのはまだまだ先のことです。
フォーレはフランス印象派には含まれないのですが、前述の通り時代の転換期に重要な役割を果たした作曲家です。
その割にあまり取り上げられないのが不思議なのですが、ラヴェルやドビュッシーほど尖っておらず、サン=サーンスほど形に拘らなかったあたりが原因なのでしょうか?
この『マスクとベルガマスク』にしても、300年ばかり昔の形式で書かれた美しい曲、としてしまえばそれで終わりなのかもしれませんが、時代が前に進もうとしている時にあえてその古典的な形式を取ったことは一つのチャレンジであったと思います。
(再利用されたりして継ぎはぎの音楽だということはさておき)フォーレがどのような意図でこの曲を作曲したのか、19世紀末から見た17世紀の祖国とはどのようなものだったのか、そんなことに想いを馳せてみたいと思います。
■参考
Wikipedia:
ガブリエル・フォーレ
マスクとベルガマスク
その他、作曲家の誕生年を参考