2016/07/24

F.ドップラー / 「アンダンテとロンド」ハ長調Op.25

フランツ・ドップラー(1821-1883)はハンガリーの作曲家であり、「ハンガリー田園幻想曲」をはじめフルート曲を多く残した作曲家として知られています。他にもオペラやバレエなどの舞台音楽も残しており、またリストの「ハンガリー狂詩曲」のいくつかを編曲したことでも知られています。

作曲家だけでなくフルートの名手でもあった彼は、18歳でブダペスト歌劇場の首席フルート奏者に就任し、その後はウィーン宮廷歌劇場の首席フルート奏者から首席指揮者の地位へと昇り詰めました。そして、1864年から1867年までウィーン音楽院のフルート科教授も務めています。

4歳年下の弟カールとの演奏旅行のために、1853年から約10年間で、超絶技巧を用いたフルート2本とオーケストラ(あるいはピアノ)の曲を10数曲書き上げ、彼らの非常に息の合った演奏は「フルートのヴィルトゥオーソ兄弟」としてヨーロッパ中を席巻しました。
「アンダンテとロンド」は兄弟の演奏旅行中に作曲され、その作品群の中でも代表作として知られています。

アンダンテでは冒頭から、豊富な和声で支えられた情感たっぷりのフレーズがドラマティックな場面も交えつつ2本のフルートによって連携しつつ奏でられます。
ロンドはハンガリーのジプシーダンスにみられる躍動感あふれるリズムが特徴的で、1stと2ndが超絶技巧で応酬しながらも流麗華麗なアンサンブルで絶妙にシンクロし、聴く人だけでなく、演奏者をも魅了します。