2020/01/08

L.v.ベートーヴェン/バイオリンとチェロのための3つの二重奏より1番 WoO27-1

アンサンブルの最小単位の二重奏。
高音域のバイオリンと低音域のチェロの組み合わせ。
ですが、メロディはバイオリンだけでなく、チェロにも乗り換えながら曲は進みます。二重奏なので、奏者にも聞き手にも、入れ替えが分かりやすくできています。
曲の構成は3楽章。
軽快で明るい1楽章で始まり、ゆっくりで少し陰鬱な短い2楽章を挟んで、最後は、軽快で明るい3楽章で終わります。

実は、WoO27は、クラリネットとバスーンの組み合わせがオリジナルで、今回は、バイオリンとチェロの二重奏に編曲した譜面を使っています。
そのため、管楽器では通常はない、同時に複数の音を出す部分など、編曲であるためにオリジナルとは違った楽しみがあると思います。

さて、今回のこの曲はクラシックの曲名でよく見る「Op」ではなく「WoO」の番号が付いています。
WoOとはドイツ語で「Werke ohne Opuszahl」。
日本語にすると「作品番号のない作品」つまり、作曲家本人ではない他の人が何かしらの根拠をもとに付けたものです。

ですが、この曲が「Op」ではなく「WoO」が付いているのは、習作だから付けなかったのではなく、偽作ではないか?という疑いがあります。その判断を難しくしているのが、この第1楽章の冒頭にあるメロディが、ベートーヴェン作曲で”春”という愛称で親しまれている、「バイオリンソナタ第5番op.24」の始まりと似ている点の捉え方です。
似ているというのは、ベートーヴェン自身が後で引用した、と素直に考えられる一方、これをモチーフとして他の誰かが作曲したのではないかという指摘。同時代に活躍した、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、などの作曲家たちは、お互いに影響を受けたり、場合によっては師弟関係があったという当時の環境からです。

なお、ベートーヴェンがこの曲を作曲したという確たる証拠(自筆譜など)が無
いらしいとのことが、偽作の疑いを晴らせない原因の一つにあるそうです。

この曲の演奏会
室内楽演奏会 vol13