2018/07/25

W.A.モーツァルト/ホルン五重奏曲 変ホ長調 K.407

モーツァルトはその短い生涯の中で、多くのホルンの為の楽曲を書き残しています。
4曲(断片も含めるともっと沢山!)のホルン協奏曲が特に有名で、そのほとんどは、モーツァルトの友人であったヨーゼフ・ロイトゲープ(1732-1811)の為に書かれたと言われています。
彼とモーツァルトの関係は「親友」か「悪友」か、いずれにしろ相当気の置けない間柄であったようで、ホルン協奏曲の自筆譜にはロイトゲープに当てた(下品な)からかいの言葉が書かれていたり、楽譜自体も色とりどりのインクで書かれていたり、と言ったエピソードも良く知られています。

今回演奏する「ホルン五重奏曲」も、ロイトゲープの為に残した作品の中の一つです。まるで協奏曲のように技巧的に書かれたホルンのパートが、弦楽4部(通常のカルテットとは異なり、ヴィオラ2本の編成となっており、暖かな響きがします)と対話する形式で書かれています。

個人的な話を一つ。
大学時代の恩師は、お前たちのような下手くそがこの曲に手を出すな!と口を酸っぱくして言っていました。あのゲルト・ザイフェルト(カラヤン時代のベルリン・フィルの伝説的な首席ホルン奏者)も怖がっていた曲なのだから、と。いざ練習を始めて、その忠告の意味を改めて実感している次第です。
楽譜自体はそんなに難しくないように見えるのに、それを「モーツァルトらしい」音楽に聞かせるのは素人ホルン吹きにはいかに難しいことか。。。
まだまだ技術も人生経験も足りないようです。

充実した響きを聞かせる、弦楽4部の演奏に聞き惚れつつ、ホルンの悪戦苦闘を温かい目で見守っていただければ幸いです。


この曲の演奏会
室内楽演奏会vol.10