2018/04/03

F.メンデルスゾーン-B/交響曲第4番 イ長調 Op.90《イタリア》

その昔「ドイツ人はイタリア好き」との話を聞いた。
かつてゲルマンと呼ばれた時代にローマ帝国により文明化(と書くと失礼なのだろうか)され、のちの時代には神聖ローマ帝国が建国されたつながり、というのがあるかもしれない。

イタリア政府観光局が発表する資料(参考資料)なるものによると、イタリアを訪れる観光客の22%はドイツからやって来て、平均で5.2泊する。これは2位のアメリカ(9.6%、2.6泊)を大きく引き離す(ちなみに日本からの観光客は9位だ)。
ちなみに別資料だとイタリアは旅行先としては3位、2位はスペイン、1位はドイツ国内らしい。

さてそんなイタリアへメンデルスゾーンもまた旅行で訪れていた。
1829年バッハの「マタイ受難曲」をベルリンで復活させたメンデルスゾーンはイングランド、ウィーン、そしてイタリアへと演奏旅行にでかける。
この時に得た着想がこの交響曲へとつながっているとされるが、題名である「イタリア」は作曲家本人によるものではなく、後世つけられたものである。
由来としては4楽章に用いられている「サルタレロ」と呼ばれるダンスで、もとはナポリの宮廷で踊られていたらしい。
動画を探してみるとこんな楽しげな踊りのようだ。


速筆のメンデルスゾーンであるがこの曲の完成は旅行からしばらく時間を要する。
完成したのは約2年後のロンドン公演の際(時間をかけた、ではなく放置していたのだろうか)、「フィンガルの洞窟」と共に演奏された。

その後メンデルスゾーンは改訂版に着手したが、残念なことに未完である。
特に第1楽章は大幅な改訂が必要と考えていたようで、今のままでも魅力的な曲であるのに、これがどうなるものなのか、聴くことができないのはとてもとても残念なことである。

参考資料
イタリアにおける外国人観光事情-ローマ観光を中心として-
https://ci.nii.ac.jp/naid/110009526260/
ドイツ人に人気の旅行先TOP3
http://ja.myecom.net/german/blog/2013/10240/