Bの日記帳

2015/11/10

J.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77

ヴァイオリン協奏曲の王様と言えばやはりベートーヴェンです。
そしてメンデルスゾーンとこのブラームスをあわせた3曲が「3大協奏曲」またはチャイコフスキーを含めて「4大協奏曲」とこのジャンルの最高峰の1曲でしょう。


なかでもブラームスの協奏曲は演奏難易度が格段に上がります。
ハイポジションや重音奏法の連続、オーケストラとの複雑な絡み合い・・・ブラームスの綿密な作り込みがあり、「ソリストとオーケストラ」ではなく独奏楽器すら1つのパートにすぎないような
交響的な曲に仕上がっています。

作曲されたのは1878年、ブラームスが45歳の時です。
すべてにおいて慎重なブラームスの作品では1877年に交響曲第2番作品73、続く作品78にはヴァイオリンソナタの「雨の歌」、作品80「大学祝典序曲」、作品81「悲劇的序曲」と言った脂ののった時期の作品と言えます。

作曲された経緯は諸説ありますが、親友ヨアヒムの演奏するベートーヴェンの協奏曲に感銘を受けたと言われています。そしてイタリア旅行の間に親友の助言を受け(しかしすべては受け入れずに)完成されたのがこのヴァイオリン協奏曲です。

初演もヨアヒムの独奏、ブラームスの指揮によって行われ、大変好評だったようです。
全体の半分近くを占める第1楽章はどこか牧歌的な雰囲気に始まり、様々なテーマがオーケストラによって提示され、独奏とオーケストラが変形させていくブラームスらしい楽章です。
 第2楽章は一転オーボエの美しい旋律が続き、サラサーテなどはこのオーボエのソロを聴きながら待っているのが悔しく演奏しなかったという逸話が残っているほどです。当初は4楽章の構成がありましたが、中間の2曲を廃棄してこの第2楽章が作曲されたと言われています。
最後の第3楽章はジプシー風のロンドで、楽しげなお祭り騒ぎの1曲です(ブラームスがここまではっちゃけるのも珍しい?)。最後はトルコ行進曲のような曲に変わり、楽しかった夢の時間が終わるように締めくくられます。

同じ年にチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が作曲されていますが、チャイコフスキーはブラームスの曲を「詩情が欠ける」と評したそうです。
チャイコフスキーの譜面はユニゾン(複数の楽器が同じ旋律を同時に演奏すること)が多く、シンプルではありますが美しい旋律に満ちています。ブラームスはその対極で、計算し、練りに練られた構成、1つの主題をこれでもかと使い回すところがチャイコフスキーが辛口になるところでしょう。

ブラームスは決してワーグナーやリストのように新しいジャンルを開拓したわけではなく、しかしながらこのややこしさがまた魅力なのだ、と年を取るに連れて味わいが深く感じられる作曲家ではないでしょうか。

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