2014/09/23

F.P.シューベルト/交響曲第7番『未完成』

或曰、「以子之矛、陥子之盾、何如。」其人弗能応也。

教科書でも引用される、『韓非子』の一節です。

この「未完成」は矛盾した曲と言えます。
形式的には確かに2楽章までしかなく、未完成と言えます。

しかし、この後にどのような3楽章、そしてフィナーレを書くことができるのでしょう。
この曲は「未完成」でありながら、「完成」していると言えるのです。
成立からしてなんとも謎に満ちた曲です。

「シューベルトは続きを書くのを忘れていた」「3楽章が思い浮かばず、書くのを放棄した」「H管の金管楽器がないために書けなかった」etc、なぜこの曲が形式的未完のまま終わったのか、ロマン溢れる議論というか期待というか、物語が語られてきました。
僕はまだ観ていませんが、映画にもなっていますね(映画ではロマンスに理由を求めているようです)。

映画になってしまうほど、この曲に限らずシューベルトの世界はなんともロマンと物語に満ちています。

オケの人間はなかなか手を出さない室内楽や歌曲の世界ですが、シューベルトは交響曲よりもそちらの方を得意としています。
アマチュアではこの未完成とグレート、それに5番の交響曲、アンコールピースに「ロザムンデ」の間奏曲3番、これぐらいしか取り上げられないのが少々寂しいところです。
モーツァルトともベートヴェンともブラームスとも異なるこの世界、なかなかディープな楽しみもありそうですね。

■関連リンク
矛盾
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%9B%E7%9B%BE
映画の話
http://matsumo-web.hp.infoseek.co.jp/music/page6cb.htm
「未完成交響曲」強奪事件
http://www.cwo.zaq.ne.jp/kawasaki/MusicPot/schubert.htm