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2016/11/26

L.v.B.室内管弦楽団 室内楽演奏会vol.7

2017年2月5日(日) かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール
13:00 開場 13:30 開演
入場無料
 
曲目:
 M.ラヴェル / ハバネラ形式の小品
 L.v.ベートーヴェン / 弦楽四重奏曲第9番 ハ長調 「ラズモフスキー第3番」 Op.59-3
 E.グリーグ / 組曲『ホルベアの時代から』 Op.40
 J.M.ダマーズ / フルート・オーボエ・ピアノのための三重奏曲 より
 A.オネゲル / 「2つの楽器とピアノのための小組曲」
 R.シューマン/ ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op.44

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ラヴェルの小品に始まり、ベートーヴェンの弦楽四重奏、弦楽合奏曲、木管アンサンブル、ピアノ五重奏曲と今回も盛り盛りでお楽しみいただけるプログラムです。
ぜひご来場ください!

会場アクセス:
 京成線青砥駅下車徒歩5分
 

2016/11/15

F.メンデルスゾーン-B/ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64

あと5年生きてもっと作品を残して欲しかった、と何百年たっても惜しまれる天才作曲家がいます。
シューベルト(31歳)、モーツァルト(35歳)、ショパン(39歳)、ビゼー(36歳)、ガーシュイン(38歳)とあげればきりがありませんが、メンデルスゾーンもそうした早世の作曲家の一人で、38歳で亡くなっています。

裕福な家庭に生まれたことでベートーヴェンのようにお金に困ることはなく、小さい時から数々の語学、数学、乗馬、絵画と一日中勉強に励み、音楽でも当然家庭教師がつき、バイオリンにピアノに作曲まで手ほどきをうけていました。

”パパパパーン♪"と鳴り響けば誰もが思い浮かべる「結婚行進曲」を含む「真夏の夜の夢」はわずか17歳で作曲し、20歳の時にはバッハの「マタイ受難曲」を(ほぼ)100年ぶりに再演したりと華々しい活躍をします。

そんなメンデルスゾーンの代表作の一つがこのヴァイオリン協奏曲。
”メンコン”とも呼ばれるこの曲はベートーヴェン、ブラームスと並ぶヴァイオリン協奏曲の頂点に立つ曲であり、メンデルスゾーンとしては晩年となる35歳の時に作曲されています。
若い頃に「弦楽のための交響曲」「弦楽八重奏曲」など弦楽器を使った作品を残しているのでもっと若い頃の作品と思っていましたが、意外にも5つの交響曲を書き終え、管弦楽曲としてはほぼ最後に近い作品だったりします。

短い前奏の後に憂いをおびたやや悲しげなメロディーからはじまるこの協奏曲は、1838年から作曲が始められ1844年に完成しています。彼の短い生涯を考えればなんと長い時間を費やした作品でしょうか。

曲が要求しているのは技巧の完全さを超えた深い解釈と崇高な簡素さを備えた様式であるのに、平凡なヴァイオリニストが演奏すると、この協奏曲は名人芸の見せ場になる
ーーレミ・ジャコブ「メンデルスゾーン」(作品社,2014)

この言葉はなんとも作品の本質を突いているのではないでしょうか。
パガニーニの作品のようなソリストの超絶技巧をアピールする曲ではなく、ソロとオーケストラが1つの楽器として、さらには1楽章から3楽章までが通して演奏される作品としてのつながり、そして一体感。天才メンデルスゾーンの最高傑作としてふさわしい作品ではないでしょうか。

メンデルスゾーンの死後わずか3年後、かのリヒャルト・ワーグナーが論文「音楽におけるユダヤ性」でその音楽性を否定し、またさらに後にはナチス・ドイツはメンデルスゾーンを含むユダヤ人作曲家の作品の公演を禁止し、ゲヴァントハウスのメンデルスゾーンの記念像をも破壊する暴挙にでますが、そのような中でもこの協奏曲は演奏され続け、180年経つ現代でも愛されてきました。

まさに人類の至宝とも呼ぶべき作品です。

2016/11/14

L.v.B.室内管弦楽団第39回演奏会

L.v.B.室内管弦楽団第39回演奏会

2017年3月20日(月・祝) 府中の森芸術劇場ウィーンホール
13:30 開場 14:00 開演

指揮:
 廣井 隆

独奏:
 高山 陽子

曲目:
 F.メンデルスゾーン-B/序曲《美しいメルジーネの物語》 Op.32
 J.フランセ/オーボエと管弦楽のための《花時計》
 L.v.ベートーヴェン/交響曲第3番変ホ長調Op.55《英雄》

入場料:
 全席自由1,000円(前売800円)
 前売りチケットはイープラスおよび府中の森芸術劇場チケットセンターにて取り扱い
 ※イープラスはこちら

ナポレオンの即位の報を知り、「奴もまた俗物に過ぎなかったか!」とベートーヴェンが怒りのあまりその譜面を破りとったとの逸話の残る交響曲第3番「英雄」。
オーケストラの編成にはトロンボーンを含まないため以降の交響曲よりは小ぶりですが、音楽史に残る革命的な作品としても言い過ぎではありません。
当団では4回目の選曲ですが、何度演奏しても「名曲」の一言が思い浮かぶ作品です。

フランセの「花時計」はオーケストラではあまり演奏される機会がありませんが、、オーボエとピアノによる室内楽では人気の作品です。
午前3時からの1日、花をテーマにした時間の流れを楽しむ一品を古典的な2曲の作品に挟んでお送りします。

そしてメンデルスゾーンの「美しいメルジーネ」。
メルジーネはフランスやドイツの民話で、人と人ならざるものの悲しい恋の物語。
日本で言えば ・・・「鶴の恩返し」でしょうか。
メンデルスゾーンらしい美しいメロディーと古典的な編成ながらドラマティックな展開で、10分の間に紡がれる物語をお楽しみください。

お問い合わせ:
 メールでのお問い合わせ

会場アクセス:
 東府中駅(新宿駅から約25分、京王八王子駅から約20分)北口下車 徒歩7分


※弦楽器のメンバーを募集しています→詳しくはこちら

2016/11/03

L.v.ベートーヴェン/劇音楽《アテネの廃墟》 作品113 より序曲

「トルコ行進曲」と言えば、「エリーゼのために」と双璧をなすほど有名なベートーヴェンのピアノ曲ですが、この曲は実は管弦楽曲だったことはご存じでしょうか? 

それが演奏会の皮切りに演奏される「序曲」が収められている劇付随音楽「アテネの廃墟」の第四曲が「トルコ行進曲」です。
 「序曲」もベートーヴェン中期の作品らしく、とても充実した作品です。 聞きどころはなんといっても序奏部の陰影のあるオーボエのソロです。ベートーヴェンの序曲でこのような特定の楽器による長大なソロが演奏されるのはこの一曲のみです。

ドラマは主神ゼウスによって2000年間眠らされていた知恵と芸術の神ミネルバが目を覚ますとアテネは、トルコの侵攻により廃墟と化していたところから始まります。オーボエのソロはミネルバの悲しみを表しているかのようです。 
 曲の後半は、新たな土地で芸術の発展に力を尽くした皇帝フランツをたたえる賛歌で曲を閉じます。

曲は1811年に作曲され1812年の同じく劇付随音楽の「シュテファン王」と共に初演されました。

2016/11/01

J.ブラームス/交響曲第2番ニ長調 作品73

完成までに実に21年を費やしたブラームス第1番の交響曲は、ベートーヴェンからの交響曲の系譜を正統的に受け継いだ「ベートーヴェンの交響曲第10番のようだ」と評され、またブラームス本人もベートーヴェンの影響下の作品であると認めていたと言われます。
難産ながら大成功を収めた第1番の発表の翌年、初めて訪れた避暑地ペルチャッハの湖畔をたいへん気に入り、そこで6月に着手し、わずか4か月後に書き上げたのが第2番である本作です。
ブラームスの田園交響曲とも呼ばれ、なるほど穏やかで美しい風光を反映したような温和な喜ばしい気分に富んでおり、第1番の「苦悩から勝利へ」といった劇的で重い雰囲気と対照的。
ブラームスの第1・第2交響曲は、ベートーヴェンの第5・第6…「運命・田園」の関係とも比されます。

第1楽章の冒頭に、基本モチーフ「レ-ド#-レ」が低弦で現され、楽曲全体に何度となく登場します。
この1小節間でのモチーフ直後からのホルンの第1テーマが、なんとも伸びやかで牧歌的。
徐々に雄大に展開したのちスタッカートの軽く弾む経過句を経て、チェロを中心に渋く歌い上げる第2テーマも美しく迫ります。
胸に一抹の切なさも感じさせる、魅力的な景色と心象風景をも見せてくれる楽章です。

第2楽章は、ロ長調ながらも内省的で物寂しい響きのあるテーマ(ブラームス自身が、自分の生涯でいちばん美しい旋律だと語っているそうです)がチェロで出され、幻想的な雰囲気のなか中間部では少し楽しげに軽やかな足取りになります。
個人的にブラームスの緩徐楽章には「月夜のおさんぽ」という呼び名が似合うものが多いと思っているのですが、曲により一人の散歩なのか二人なのかイメージが膨らむところです。
この楽章もまた、月夜が似合いますが…一人で薄明りを踏んで散歩しながら、もう一人を幻影で見ているようではないでしょうか。

第3楽章はメヌエットとスケルツォが変則的に融合したような、材料となるロココ風の愛らしいテーマが変化を見せていくさまも楽しいものとなっています。

朝靄の中からモヤッと始まるような第4楽章は、すぐに明るい陽射しを伴って楽しく、ときに喜びが爆発するような熱を放ちながら進みます。
第1、第2主題とも巧みに基本モチーフが使われ、トランクィロもまた それに基づく3連符で呼応されます。
再現部を経てコーダは金管楽器が華やかに歓喜を盛り上げて走り抜けます。


現在のペルチャッハ(from Wikipedia)

南オーストリアにあり、日本でいうと摩周湖ぐらいの広さの湖。
ブラームスが滞在した家は現在はペンションとして営業されているとのことだが、現地ではそれほど観光名所というほどではないようだ。

2016/10/10

第38回演奏会チケット販売開始

第38回演奏会のチケットの前売り販売を開始しています。

下記にて取り扱いをしておりますので、ぜひぜひご利用ください。
 イープラス
 府中の森芸術劇場チケットセンター(電話のみ、042-360-4044)

2016/08/07

W.A.モーツァルト / ホルン協奏曲第3番変ホ長調 K.447

モーツァルトは管楽器の為の協奏曲を数多く残しています。

代表的なのはやはりクラリネットの為の協奏曲(K.622)でアマチュアでも演奏機会の多い曲です。ホルン協奏曲は演奏頻度では劣るかもしれませんが、小さな編成ながらモーツァルトらしいとても魅力的な作品です。

4つのホルン協奏曲とホルン五重奏曲は友人のホルン奏者・ロイドゲープ(あるいはライトゲープ)のために作曲されています。ロイドゲープはザルツブルク宮廷楽団のホルンとヴァイオリンの奏者で、のちにウィーンに出てからは奥様の実家のチーズ屋を生業とした不思議な経歴の持ち主です。

第3番の作曲は1783年もしくは1787年、前者であれば交響曲第36番と同年、後者は第37番と第38番の間となり、いずれにせよモーツァルトの作品としては後半に位置します。

4曲の中では比較的演奏の難易度が低いと言われますが(ソリストの高齢化のため、とも)、一方で作風は宮廷のサロン音楽から純粋な演奏会レパートリーと”なろうとしている”時期の作品です。典型的なソナタ形式である第1楽章、単独でも演奏されることもある第2楽章の「ロマンス」、そして第3楽章のロンドは後期の作品に劣らない充実した楽章で、ホルンの魅力を十分に引き出しています。モーツァルトのロンド楽章はどれも素晴らしい作品で、過去に演奏したオーボエ四重奏曲(K.370)、ピアノ四重奏曲第1番(K.478)などなど、「どれも1番すばらしい」曲が残されています。

オーケストラの編成はクラリネットとファゴットを用いています。通常はクラリネットではなくオーボエが加わるのが古典的な編成ですが、クラリネット好きのモーツァルトがあえてこの曲のみクラリネットを使った理由は定かではありません。この曲では出番こそ少ないのですが、実は活躍していますのでホルンだけではなくクラリネットにも注目の作品です。

2016/07/27

W.A.モーツァルト / 五つのディヴェルティメント変ロ長調 K.439b(Anh.229)より第1番

クラリネット奏者にとって、モーツァルトは特別な作曲家です。
当時、クラリネットはまだ歴史の浅い楽器であり、オーケストラの1パートを担うことは稀でした。そこにスポットライトを当ててくれたのがモーツァルトです。彼の親友で、当代随一のクラリネット(およびバセットホルン)奏者であったアントン・シュタードラーのために多くの作品を残しました。

「五つのディヴェルティメント」は、モーツァルトがバセットホルンに強い関心を寄せていたことを窺わせる作品の一つで、元来3本のバセットホルンで演奏するために書かれた小品集です。バセットホルンはクラリネットと同族楽器で、一般的なクラリネットに比べ低音域が拡張され、鼻にかかった独特な音色をしています。残念ながら、モーツァルトほどにバセットホルンを好んで用いた作曲家はほとんど見られませんが、この作品自体は初版の楽譜が出版された直後から人気を博していたようで、様々な楽器編成にアレンジされています。

ディヴェルティメント第1~第5番までの各作品はそれぞれに5曲の小品を有する構成となっており、今回はその中から第1番を、2本のクラリネットと1本のファゴットの編成で演奏します。

第1曲 Allegro ソナタ形式。快活で爽やかな曲想
第2曲 Menuetto : Allegretto ハイドンを思わせる、ゆったりとしたメヌエット
第3曲 Adagio 二部形式。前半は横の流れ、後半は縦の流れを感じさせる緩徐楽章
第4曲 Menuetto 軽快で、どこかコミカルな雰囲気のメヌエット
第5曲 Rondo : Allegro ロンド形式。主題が賑やかさを増しつつ変奏され、明快なコーダを迎えます

2016/07/24

F.ドップラー / 「アンダンテとロンド」ハ長調Op.25

フランツ・ドップラー(1821-1883)はハンガリーの作曲家であり、「ハンガリー田園幻想曲」をはじめフルート曲を多く残した作曲家として知られています。他にもオペラやバレエなどの舞台音楽も残しており、またリストの「ハンガリー狂詩曲」のいくつかを編曲したことでも知られています。

作曲家だけでなくフルートの名手でもあった彼は、18歳でブダペスト歌劇場の首席フルート奏者に就任し、その後はウィーン宮廷歌劇場の首席フルート奏者から首席指揮者の地位へと昇り詰めました。そして、1864年から1867年までウィーン音楽院のフルート科教授も務めています。

4歳年下の弟カールとの演奏旅行のために、1853年から約10年間で、超絶技巧を用いたフルート2本とオーケストラ(あるいはピアノ)の曲を10数曲書き上げ、彼らの非常に息の合った演奏は「フルートのヴィルトゥオーソ兄弟」としてヨーロッパ中を席巻しました。
「アンダンテとロンド」は兄弟の演奏旅行中に作曲され、その作品群の中でも代表作として知られています。

アンダンテでは冒頭から、豊富な和声で支えられた情感たっぷりのフレーズがドラマティックな場面も交えつつ2本のフルートによって連携しつつ奏でられます。
ロンドはハンガリーのジプシーダンスにみられる躍動感あふれるリズムが特徴的で、1stと2ndが超絶技巧で応酬しながらも流麗華麗なアンサンブルで絶妙にシンクロし、聴く人だけでなく、演奏者をも魅了します。

J.パッヘルベル / 3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調 よりカノン

「かえるの歌が 聞こえてくるよ〜♪」の童謡、一度は歌ったことのある人は多いでしょう。
この同じメロディーが順番にでてくる曲を「カノン」と呼びますが、有名なのがこの「パッヘルベルのカノン」。

カノンと言えばパッヘルベル、パッヘルベルと言えばカノン、というぐらいに有名です。
「クラシックは寝てしまうので無理!」なんて人もどこかで聴いたことがあるはずで、華原朋美の「あなたがいれば」、山下達郎の「クリスマス・イヴ」などポップスにもアレンジされています。

バロックの音楽家パッヘルベルはドイツのニュルンベルクのワイン商の家に生まれ、のちウィーンにでてシュテファン大聖堂のオルガン奏者となります。シュテファン大聖堂は若き日のヨーゼフ&ミヒャエル・ハイドンの兄弟が聖歌隊に属し、モーツァルトが結婚式をあげた寺院でもあります。

現在ではほぼこの作品でのみ知られていますが、実はカノンはこの1曲しか残しておらず、また本来は「カノンとジーグ」でセットの曲です。
が、ジーグはあまりに有名なカノンと比べるとほぼ演奏機会がありません(どころかプログラムに曲名が書かれることもないような)。
今回も悩んだところでしたが・・・カノンのみで演奏いたします。

「どこかで聴いたクラシック」の代表作をお楽しみください!

2016/07/20

L.v.ベートーヴェン / 弦楽四重奏曲第4番ハ短調Op.18-4

ベートーヴェンは、全16曲の弦楽四重奏曲を、前期6曲・中期5曲・後期5曲、とその生涯にわたって書き続けました。この4番の含まれる前期作品は、まだハイドンやモーツァルトの影響が残り、難曲ぞろいの中後期作品に比べてアマチュアでも比較的取り組みやすいと言われています。「第4番」とはなっていますが実際に作曲されたのは6番目、前期6曲の中で唯一の短調からは、徐々に耳が聞こえづらくなっていくベートーヴェンの苦悩が伝わってきます。交響曲第5番「運命」やピアノソナタ8番「悲壮」などの名曲と同じハ短調が使われているところにも特別な思いが込められているように感じられます。
冒頭は第一ヴァイオリンの力強く悲しい旋律から始まります。“旋律”対“伴奏”の第一主題から、お互いが心地よくなじむ第二主題へとつながっていきます。展開部では激しさを増し、悲壮感をより一層強めながら一楽章が進行します。

第二ヴァイオリンから始まる二楽章では、一楽章とは対照的に、楽章を通じて各楽器が対等にかわるがわる顔をのぞかせます。全体を通して軽やかな雰囲気ではありますが、その中にも緊張感や優しさ悲しみなどいろいろな音のバリエーションが表現されています。

三楽章はスフォルツァンドが印象的なドラマティックな出だしから始まります。4つの楽器が重厚に入りまじる大海原のようなメヌエット、3連符の刻みの中から優しいメロディが表れる穏やかな川のようなトリオ、対比的に描かれる各部分はベートーヴェンの迷いが表れているのでしょうか。

四楽章では一楽章から続く悲壮感が再び強く呼び起こされます。第一主題を何度も繰り返して徐々に盛り上がりながらたどり着いたコーダでは、最後に少し明るさをのぞかせしかしユニゾンで力強く終曲します。悲壮感やもの悲しさが随所に感じられる苦難の曲ではありつつも、様々な迷いが吹っ切れた、そう感じさせるような終わりを迎えます。

2016/06/11

L.v.B.室内管弦楽団第38回演奏会

L.v.B.室内管弦楽団第38回演奏会

2016年11月23日(水・祝) 府中の森芸術劇場ウィーンホール
13:30 開場 14:00 開演

指揮:
 苫米地 英一

独奏:
 印田 千裕

曲目:
 L.v.ベートーヴェン/劇音楽《アテネの廃墟》 作品113 より序曲
 F.メンデルスゾーン-B/ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
 J.ブラームス/交響曲第2番ニ長調 作品73

入場料:
 全席自由1,000円(前売800円)
 前売りチケット
  イープラス
  府中の森芸術劇場チケットセンター(電話のみ、042-360-4044)

「室内オーケストラのブラームス」、最後はブラームスの田園交響曲とも呼ばれる第2番です。ホルンのソロから始まり歓喜に溢れるフィナーレまで全体を通して穏やかな表情を持つこの曲は厳しい表情を見せる第1番とは対照的な曲で、実に21年もの歳月をかけて完成された第1番の翌年、わずか一夏の間に書き上げられています。
作曲されたペルチャッハは南オーストリアの避暑地で、現在もブラームスが滞在した家はペンションとして営業しているそうです(ただし地元ではそれほど観光名所というわけではない、らしい)。

あわせて演奏するのはメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。
ベートーヴェン・ブラームスと並ぶ三大協奏曲、あるいはチャイコフスキーもあわせて四大協奏曲ともされるこの曲は素直に心に染み入るメロディーが人気で、初演から180年が見えてきている現代においても数多くの演奏会で取り上げられています。

そしてベートーヴェンの作品は《アテネの廃墟》の序曲。
あまり演奏される機会のない曲ですが、この劇音楽の「トルコ行進曲」はピアノの作品でよく知られています。



お問い合わせ:
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会場アクセス:
 東府中駅(新宿駅から約25分、京王八王子駅から約20分)北口下車 徒歩7分

2016/05/14

P.I.チャイコフスキー/ロココの主題による変奏曲 イ長調 作品33

永遠の定番とも言える不動の人気の曲がいくつかあります。
例えばベートーヴェンの「運命」、ブラームスの交響曲第1番などなど。
その一角を占めるであろうチャイコフスキーの作品群はオーケストラの一体感、特にユニゾン(各パートが同じパッセージを演奏すること)の多用による効果と、メロディーの美しさにあるでしょう。 オーケストラでは交響曲第4、5、6番、ピアノ協奏曲、バイオリン協奏曲、室内楽では弦楽四重奏曲(アンダンテ・カンタービレが特に有名です)はいずれも華やかさと美しさ、そして遠いロシアの音楽でありながらどこか懐かしさを感じる名曲達です。

そんなチャイコフスキーの作品の中で、この「ロココの主題による変奏曲」はちょっとマイナーな曲になります。
他の人気曲と比較するとオーケストラ曲としては編成が小さく、金管楽器のファンファーレなどもありません(編成にもトランペットとトロンボーンが含まれていません)。

チャイコフスキー「らしさ」のひとつが弦楽器・管楽器によるフォルテの演奏とすると、この「ロココ」ではそのような場面がなく、独奏チェロの技巧的な変奏曲が続く異色の作品かもしれません。

しかし冒頭のテーマが始まった瞬間、これはチャイコフスキーだと思わざるを得ない魅力的なメロディーと7つの変奏曲(原典版では8つ)は、決してこの曲が凡庸な作品ではないと感じさせます。

タイトルにつけられた「ロココの主題」とは過去の音楽家の作品からの引用ではなくチャイコフスキーのオリジナルのものだそうです。
「ロココ」とは美術史ではバロックの後の時代、フランスから始まった様式です。
バロック・古典主義・ロココ・新古典主義・ロマン主義などと分類されますが、音楽ではバロック音楽(バッハ)、古典音楽(ハイドン、モーツァルト)、ロマン派(ベートーヴェンより後の時代) などと分類されますが「ロココの音楽家」とはあまり呼ばないようです。
調べたところクープランやラモーの作品がロココの音楽と分類されることもあるようですが、実際のところ美術の方でもあまり明確にバロックとロココの違いはないそうです。

ロシアにおいては女帝エカテリーナ1世がサンクトペテルブルク郊外に建て、世界遺産にもなったエカテリーナ宮殿がロココの建築物です。チャイコフスキーはサンクトペテルブルクにあるアレクサンドル・ネフスキー寺院(こちらも世界遺産)に埋葬されています。特にチャイコフスキーがエカテリーナ宮殿を訪れたようなエピソードはありませんでしたが、豪華絢爛なこの宮殿をイメージした演奏してみたいと思います。

2016/05/10

L.v.B.室内管弦楽団 室内楽演奏会vol.6

2016年8月11日(木・祝日) 五反田文化センター 音楽ホール
13:00 開場 13:30 開演
入場無料
 
曲目:
 W.A.モーツァルト / 五つのディヴェルティメント変ロ長調 K.439b(Anh.229)より第1番
 L.v.ベートーヴェン / 弦楽四重奏曲第4番ハ短調Op.18-4
 F.ドップラー / 「アンダンテとロンド」ハ長調Op.25
 J.パッヘルベル / 3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調 よりカノン
 W.A.モーツァルト / ホルン協奏曲第3番変ホ長調 K.447

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オーケストラの演奏会以上に盛り合わせをお楽しみいただいている室内楽演奏会。
今回は初となるベートーヴェンの弦楽四重奏、初期の作品18から唯一の短調となる第4番に取り組みます。

管楽アンサンブルはディベルティメントから第1番。
この作品はモーツァルトの死後に出版され、時には偽作や他の作品の編曲が含まれたりと落ち着くまでに時間がかかりましたが、現在では弦楽三重奏など様々な編成で演奏されます。

ドップラーはあまり知られていない作曲家ですが、ハンガリーの出身で19世紀中旬に活躍したフルート演奏家・作曲家・指揮者です。オペラなども残してますが、フルートの作品を多く残しています。

弦楽合奏はパッヘルベルの「カノン」とモーツァルトのホルン協奏曲。
カノンはクラシックに詳しくない人でも一度は聴いたことのあるだろう有名な作品です。
そして演奏会の最後はホルン協奏曲。
モーツァルトが友人のホルン奏者のために4つの作品を残しましたが、この第3番はちょっとだけ「地味」とされますが、その代わりロマンス楽章は特に素晴らしい1曲です。

今回もお楽しみいただけるプログラムですので、ぜひご来場ください!

会場アクセス:
 JR山手線、都営地下鉄浅草線、東急池上線「五反田駅」より徒歩約13分
 東急池上線「大崎広小路駅」より徒歩約10分
 東急目黒線「不動前駅」より徒歩約10分

 

第37回演奏会チケット販売

イープラス及び府中の森芸術劇場でチケットの販売が始まりました!

イープラス
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002190524P0030001
府中の森芸術劇場チケットセンター
042-360-4044

2016/03/14

L.v.B.室内管弦楽団第37回演奏会


L.v.B.室内管弦楽団第37回演奏会

2016年6月12日(日) 府中の森芸術劇場ウィーンホール
13:30 開場 14:00 開演

指揮:
 広井 隆

独奏:
 印田 陽介

曲目:
 C.ドビュッシー/小組曲
 P.I.チャイコフスキー/ロココの主題による変奏曲 イ長調 作品33
 J.イベール/モーツァルトへのオマージュ
 L.v.ベートーヴェン/交響曲第8番 ヘ長調 作品93

入場料:
 全席自由1,000円(前売800円)
 イープラス
 府中の森芸術劇場チケットセンター(府中の森芸術劇場 1階) 受付時間:10時~18時

久しぶりにフランス物のプログラムです!
まずはドビュッシーのピアノ曲を友人のビュッセルが編曲した管弦楽版で人気となった小組曲。
イベールの小管弦楽作品である「モーツァルトへのオマージュ」。
5分ほどの小品ですがとても愛らしく、楽しい作品です。
そしてチャイコフスキーの「ロココ」。
フランスなのにチャイコフスキー?と思われたかもしれませんが、ロココとは18世紀のフランスに始まる様式です。バロックのあとの時代で音楽ではクープラン、ラモーなど、建築ではフランスのベルサイユ宮殿内にある小トリアノン宮殿、ドイツのサンスーシ宮殿、ロシアのエカテリーナ宮殿などが知られています。
実はチャイコフスキーのパトロンで知られるフォン・メック夫人の娘のピアノ教師として雇われたのがドビュッシーでしたので、チャイコフスキーは若きドビュッシーの作品のスケッチを目にしたこともあった・・・そんな繋がりもありました。

演奏会のメインはベートーヴェンの8番。
第5番「運命」以降の作品ではもっとも小規模な交響曲ですが、その「密度」はもっとも高い作品です。ベートーヴェン自身も第7番に比べ人気の出なかったこの曲を「聴衆が理解できないのはこの曲があまりに優れているからだ」と語ったとか。

こんなちょっとマイナーだけど魅力的なプログラムでお待ちしております。

お問い合わせ:
 メールでのお問い合わせ

会場アクセス:
  東府中駅(新宿駅から約25分、京王八王子駅から約20分)北口下車 徒歩7分



演奏者の募集をしています。
見学随時可能です。
まずはお気軽に事務局までお問い合わせください。

メールでのお問い合わせ→lvb.c.orch@gmail.com

団員募集について
http://ludwig-b.blogspot.jp/2014/11/lvb.html

2016/02/11

L.v.ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番《皇帝》 変ホ長調 Op.73

ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73 1809年完成,1811年初演

当団では、前回の演奏会で取り上げた交響曲第5番「運命」に続き、ベートーヴェンの5番の演奏となります。

ベートーヴェンの「傑作の森」(1804年からの10年間)と言われている中期の作品の中でも傑作中の傑作であることは異論のない作品です。
彼の最後のピアノ協奏曲であり、彼のあらゆる楽器での協奏曲でも最後の作品です。
ベートーヴェン自身もピアノの名手であったがゆえに「協奏曲」という分野の作品はこれで完成した。ということなのかもしれません。

みなさま「皇帝」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。

この曲の「皇帝」という副題はベートーヴェン自身が付けたものでもなく、当時ウィーンを占領したナポレオンに献呈したものでもありません。(曲はベートーヴェンのパトロンだったルドルフ大公に献呈されています。)
時まさにナポレオン戦争の真っ最中で、オーストリア戦役にて、ウィーンがフランス軍に占領され巨額な賠償金を課せられた年の作曲です。当時のウィーンは戦火に巻き込まれ荒廃していた中で作曲されました。

「皇帝」といえばナポレオンを連想させますが、第3交響曲「英雄」を、ナポレオンに捧げたとはいえ自分の故郷を蹂躙した皇帝のために作曲したとはちょっと思えません。

この副題には諸説ありますがその威風堂々とした曲想から後世の人が名づけたようです。

第1楽章 Allegro.
その名にふさわしい変ホ長調のオーケストラによる堂々とした全奏から始まり、いきなりピアノによる華々しいカデンツァが演奏されます。
それまでの協奏曲の常識を覆す、この導入部は発表された当時は相当センセーショナルであったのはでないかと思います。

この序奏で聴衆の耳を演奏に釘づけにする手法こそ、後のロマン派の作曲家の協奏曲で用いられる手法の元祖なのです。
序奏のあとは古典派の常識にそった展開を見せていきますが1楽章の演奏時間の長さも当時では常識はずれの長さだったのです。
従来の協奏曲では、1楽章の終結部ではソリストの名人芸を披露するためにカデンツァが挿入されていておりましたが、ここでもベートーヴェンは常識を打ち破り「カデンツァ不要」としています。

第2楽章 Adagio un poco mosso.
いかにもベートーヴェンらしい、ロマンスあふれる旋律に満ち溢れた楽章です。
この美しさは情熱や告別といったベートーヴェンのピアノソナタに通じるものを感じます。

ベートーヴェンは、その肖像画の印象が強烈なためかどちらかというと、運命や交響曲第7番といった、硬派なイメージがありますが筆者はこういった美しいメロディーもベートーヴェンならではと感じています。

音楽的には、拡大された2部形式のようでもあり3部形式のようでもあります。
曲は止まることなくそのまま3楽章へ突入します。

筆者は、このオーケストラではトランペットを吹いております。
悲しいかなこの美しい第二楽章ではトランペットはお休みなのです。
しかし私はこの楽章が美しいメロディーと和声に満ち溢れており大好きなのです。
ベートーヴェンの時代のトランペットはバルブやキーというものがなく、打楽器(ティンパニ)を補完する役目をする楽器でした。
当時のトランペットではこの美しいメロディーは演奏することは不可能だったので仕方がないことですが。。

第3楽章  Rondo Allegro - Piu allgero .

ロンド( Rondo )というのは輪舞曲と日本語で訳されます。
通常は、複数の舞曲をA-B-A-Bというような形で進んでいきます。

この曲では、左手は3拍子2つ(6/8拍子)でリズムを刻んでいますが、右手のメロディーは2拍子を3つで進んでいきます。
うまくかみ合わないと踊ることが出来ない音楽になってしまいます。
オーケストラの伴奏でもピアノと同じようにリズムとメロディーが別々の拍子で音楽を進めます。

曲はピアノとティンパニだけで静かに閉じそうになりますが、最後は息を吹き返すかのようなピアノの躍動感あふれたパッセージとオーケストラの全奏で華やかに幕を閉じます。(S.S)

2016/02/07

J.ブラームス/交響曲第3番 ヘ長調 Op.90

ブラームスの3番目の交響曲であるヘ長調作品90は、1883年、ブラームス50歳の年に作曲されました。この曲を作曲している間は保養のためヴィースバーデンで過ごしていましたが、他の創作には一切手を付けず、この交響曲にのみ専念していました。
ヴィースバーデンの住居はブラームスにとってことのほか気持ちのよい家であり、彼は「この素晴らしさはこんな鉄のペンでは書き表すことができない」と友人に述べています。このような気持ちも手伝い、作曲はとても順調に進んだようです。
初演は1883年12月2日、ハンス・リヒター指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によってウィーンで行われました。

第1楽章の冒頭部、F-As-Fの3つの音から始まるこの動機はこの交響曲を組み立てる上で基本となる音列であり、以後何度となく使用され、またこれが形を変えて新しい主題を生み発展していきます。
ヘ長調を中心としながらも、イ長調に転調した際のクラリネットの暖かく牧歌的な旋律、展開部のビオラやチェロの情熱的で心に訴えかけてくるかのような嬰へ短調のメロディなどの多様な表情を混え、ブラームス独自の熱情や円熟した手法を感じられる楽章となっております。

第2楽章は、ヘ長調の上属調のハ長調で書かれており、平和な牧歌風ののどかな雰囲気が印象的な楽章となっています。
今にも小鳥のさえずりや小川のせせらぎが聞こえてきそうなクラリネットやオーボエの旋律、遠い山の教会から聞こえる賛美歌のようなトロンボーンのハーモニーが静かに響き、思わず天上へ誘われるかのような感覚を抱くのではないでしょうか。

交響曲での第3楽章はメヌエットやスケルツォが一般的ですが、ブラームスは間奏曲的な位置付けでこの楽章を書いています。
調性はハ短調で、冒頭部のチェロのむせび泣くような旋律が涙を誘います。
中間部は木管楽器を中心に、移ろう気分を表すかのような旋律が変イ長調で奏でられますが、また悲しみが溢れるかのようにハ短調に戻り、冒頭部の旋律が今度はホルンが奏で、オーボエに引き継がれます。

第4楽章はヘ長調ではなくへ短調を中心としており、弦楽器とファゴットによるうねるような旋律に始まり、2・3楽章では一部を除き使われていなかった金打楽器も総動員し、曲中でもっとも激しい曲調となります。時折牧歌的な部分も見せつつ、中間部では、神の声を表すとされるトロンボーンに導かれ、オーケストラの全奏により、最後の審判のような場面が訪れます。なおも激しい曲調は続きながらも、ある時一変して静かになり、ヴァイオリンが第1楽章冒頭の動機を奏で、救いをもたらすかのようなヘ長調の和音で終止します。

2016/02/03

第36回演奏会チケット販売のお知らせ

イープラスにて販売が開始されました。
前売チケットは1,000円→800円とお得になっておりますのでぜひご利用ください!

L.v.B .室内管弦楽団第36回演奏会




第36回演奏会のお知らせはこちら

2016/01/03

L.v.ベートーヴェン / 2つのオブリガート眼鏡付きの二重奏曲 変ホ長調 WoO 32

この奇妙な題名の二重奏曲は、ベートーヴェンの友人のビオラ奏者とチェロ奏者のために作曲され、友人達が二人とも眼鏡を着けていたことからこの奇妙なタイトルが着けられたようです。

オブリガートとは音楽用語では「助奏」の意味でアドリブ(ad libitum)の逆の意味、楽譜上に記載された旋律や修飾を意味していますが、この曲ではイタリア語の「固定の」「必須の」の意で使われておりベートーヴェンの言葉で「演奏者に眼鏡が必須」"Duetto mit zwei obligaten Augengläsern" ( Duet requiring two pairs of spectacles ).と残されています。

作曲は1796年、作品番号にWoOが使われているように初期の作品です。
ピアノヴィルトーゾとして売り出していたベートーヴェンが耳の病に苦しんでいた時期ですが、弦楽四重奏曲と交響曲第1番を作曲するのはこの3年後 、このころはまだピアノやバイオリンのためのソナタなどの小品を作曲していました。

ビオラとチェロの二重奏なのでバイオリンのような派手さはないものの、軽妙でウィットに富んだ掛け合いが続く楽しい曲です。
どちらのパートも、特にチェロパートは高音域を用いるため、冗談のような曲名と楽しいとはいえ地味な曲で難易度も高いためあまり演奏されることはないようです。

曲はソナタ形式で充実した第1楽章とおまけのようなメヌエットの第2楽章、そして断片のみの第3楽章で構成されていますが、通常は第1楽章のみが演奏されています。


弦楽四重奏曲第4番(Op18-4)の1楽章とこの二重奏のテーマがよく似ています。
四重奏曲の発表は1799年ですが、どうやら同時期に作曲されていたようです。