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2015/06/15

F.メンデルスゾーン-B/交響曲第5番《宗教改革》ニ長調 Op.107

メンデルスゾーンは5つの交響曲を残しています。
(そのうち第2番は交響曲の名前を持つカンタータなので、実質は4曲と言えます。)
人気があるのは第3番《スコットランド》と第4番《イタリア》ですが、この第5番もなかなか根強い人気が(アマチュア演奏家には)あるようです。

第5番と最後の番号が振られていますが、交響曲では2番目と若い時代に作曲されました。
生前には何度か改訂されたようで、例えばベーレンライター版では第3楽章にはレチタティーボが含まれるていたりします。

編成上はメンデルスゾーンでは珍しくトロンボーンを含み、さらにコントラファゴットとセルパンで低音を強化しています。
セルパンはチューバが発明される前に用いられていた低音を担う楽器で、蛇のような不思議な形をした楽器です(「サーペント(蛇)」と語源が同じです)。

「宗教改革」のタイトル通り、1517年にマルティン・ルターにより始められた宗教改革をテーマとしています。ユダヤ人であるメンデルスゾーン一家は宗教的な迫害を逃れるために改宗をしたと伝えられますが、その宗教改革の300年の記念年にあわせて作曲されてました。
不安や争いを暗示するような第1楽章、平和だった頃を懐かしむような第2楽章から一転して深い悲しみをこらえるような第3楽章、そして絶望に沈む世界に光が差し込むように始まり、歓喜のうちに集結する第4楽章と、非常にドラマティックな曲に仕上がっています。

第4楽章、フルートのソロから始まるメロディーはルター自身が作曲した賛美歌「神はわがやぐら」を引用しています。
バッハやワーグナーも引用しており、ルター派では重要な賛美歌なのだそうです。

J.S.バッハ/『われらが神は堅き砦』BWV80 より

同じくバッハ/コラールBWV302


R.ワーグナー/皇帝マーチ