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2017/07/17

M.ブルッフ / ロマンス Op.85

「ヴァイオリンとヴィオラの違いは?」「ヴィオラの方が長く燃える」などという「ヴィオラジョーク」が語られていたのは昔の話。近年、ヴィオラの魅力に、はまる人が増えているそうです。オーケストラの中では、主に内声を支える役割をしているので、一見地味な印象がありますが、ベルリン・フィルの指揮者サイモン・ラトルによれば、「ヴィオラは影の立役者。主旋律を奏でることは少ないが、ヴィオラ抜きにオーケストラは成り立たない」というほど重要な楽器です。また、ヴィオラの音域は、ヴァイオリンより5度低く、チェロより1オクターブ高いため、人間の声に一番近く、ヴァイオリンより一回り大きい分、表現力も豊かで深みのある芳醇な響きがします。

長い間、ヴィオラは独奏楽器として認められておらず、ほとんどオーケストラや室内楽で用いられる「合奏楽器」とみなされてきました。独奏楽器として注目されはじめたのは、18世紀後半からです。そのため、ヴィオラ独奏のレパートリーは多くはなく、ヴァイオリンやチェロ、クラリネットなど、他の楽器の曲をヴィオラ用に編曲された作品もたくさんあります。今回取り上げるブルッフの「ヴィオラとオーケストラのためのロマンス」は、ヴィオラのために書かれた貴重な独奏曲です。

ブルッフといえば、有名なヴァイオリン協奏曲第1番の他、スコットランド幻想曲、コル・ニドライなど、弦楽器のための曲に人気がありますが、この曲は、パリのヴィオラ奏者モーリス・ヴューに献呈された、抒情的で美しい曲です。今回はオーケストラではなく、ピアノと一緒に演奏します。ヴィオラって良い音だなぁ・・・と感じていただけたら幸いです。


この曲の演奏会
室内楽演奏会vol.8