メルジーネ、あるいはメリュジーヌとはフランスを起源としドイツにも広まった蛇女の伝承で、上半身は女性、下半身は蛇、背中には翼を持っている。伝承は異類婚奇譚、つまり人間あるいは神とそれ以外との恋愛、結婚を題材としたものである(日本では「鶴女房」や「雪女」、あるいは西洋では「美女と野獣」などが該当する)。
ある貴族(もしくは騎士)がメルジーネと出会い恋に落ち、「土曜日に自分の姿を決してみないこと」を制約として結婚する。10人の子供を設けるが、ある日貴族は約束を破り土曜日にメルジーネの正体をみてしまうことで、幸せな生活は終わりを告げる。
メンデルスゾーンはベルリンでこの物語を題材としたオペラを見たのだが、いたく不満で自分で作曲することとしたらしい。
演奏会用序曲(組曲などではなく単体の作品として演奏される)と作曲されたこの「美しいメルジーネの物語」は 交響詩に近い作品と言える。
残念ながら初演は不評に終わり、現在演奏されるのは改訂版となっている。
曲は水のイメージとされる分散和音で穏やかに始まる序奏と、やがて激しく苦悩するかのような音楽へと進み、そしてメンデルスゾーンらしい美しく情熱的なメロディーとが交互に演奏され、最後は静かに終わりを告げる。
この曲の演奏会
第39回演奏会