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2020/10/05

L.v.B.室内管弦楽団 第47回演奏会

2021年4月4日(日) 白寿ホール

13:30 開場 14:00 開演

指揮:

ソプラノ:
 佐藤 亜希子


曲目:
L.v.ベートーヴェン/劇音楽「エグモント」序曲 作品84
G.ヴェルディ / ダンテ翻訳による"アヴェ・マリア" (1880年)
W.A.モーツァルト / 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」K.527よりアリア「仰らないで、私の愛しいお方」
J.ブラームス / セレナード第1番ニ長調作品11

ベートーヴェンの後継者とも評されるブラームスは交響曲第1番まで長い時間をかけたことが知られている。そのブラームスが27歳から30歳ぐらいの間に書きあげたのが「セレナーデ第1番」。重厚な交響曲第1番と対照的なハイドンやモーツァルトの時代の形式による、しかしブラームスらしい「歌」が散りばめられた隠れた名曲だ。
あわせて演奏するのは名曲、劇音楽「エグモント」序曲。ハプスブルグ家の圧政に反旗を翻すエグモント伯ラモラールを題材にした、ベートーヴェンが敬愛するゲーテの戯曲のために作曲された作品。
そして久しぶりとなる歌曲はソプラノの佐藤さんをお迎えし、モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」のアリア、そして指揮者・苫米地氏がライフワークともするヴェルディの"アヴェ・マリア"を演奏する。

入場料
 1,000円(全席自由)
 前売800円(イープラスにて取り扱い)
 LVB室内管弦楽団第47回演奏
会

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 050-5892-6765(事務局)

会場アクセス:
 東京メトロ千代田線代々木公園駅徒歩5分
 小田急線代々木八幡駅徒歩5分
  →会場アクセス(施設Webサイト)

L.v.B.室内管弦楽団 室内楽演奏会vol.15

2021年1月24日(日) かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール

12:30 開場 13:00 開演
入場無料

曲目:
 A.ドヴォルザーク / テルツェット ハ長調 op.74
 N.ティチアーティ / 3つのチェロのためのディヴェルティメント
 高昌帥 / 木管五重奏 「茶摘み」によるディヴェルティメント
 C.ニールセン / 木管五重奏曲 作品43 FS.100より第1楽章
 G.フィンジ / オーボエと弦楽のための間奏曲  作品21
 L.v.ベートーヴェン / ピアノ三重奏曲 第4番 変ロ長調『街の歌』 作品11 
 E.グリーグ / 2つの悲しき旋律 作品34


フィンジ、グリーグ、ドヴォルザーク、ちょっとマイナーな室内楽特集
有名作曲家の作品でもマイナーな曲はなかなか演奏機会がないもの。
今回もなかなか演奏会では聴けない名曲(迷曲)を集めてみました。

合奏パートではグリーグの弦楽曲はノルウェーの詩人ヴィニエの詩による小品。
疲れ、傷ついた詩人が春の訪れに癒される「胸の痛み」。
病める詩人が春の訪れを喜びながらも、自身にとってはこれが最後と思う気持ちを詠った「最後の春(過ぎにし春)」。
不安な報せの続く日々にいつか明るい兆しが訪れることを願うような曲です。

新型コロナ感染症対策のため、入場人数をホール定員の50%以下に制限させていただきます。
また会場内でのマスク着用および緊急時の連絡先提出にご協力ください。

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会場アクセス:
 京成線青砥駅下車徒歩5分
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2020/03/16

L.v.ベートーヴェン/交響曲第3番変ホ長調『英雄』 作品55

作曲に取り掛かる前年である1802年、ベートーヴェンは既に耳の不調を感じはじめていた。日を追って悪化する聴力の低下に絶望を覚え、「ハイリゲンシュタットの遺書」をしたためたが、音楽家としての強固な使命感と作曲への意欲からこれを克服した。

そのような時期に作曲されたのがこの『英雄』である。

『英雄』ナポレオンの為に献呈しようと作曲したが、皇帝即位の報に接し、表紙を破り捨てたというエピソードは有名である。真偽を確かめる術はないが、当時ポーランドを初め欧州各国ではナポレオンは庶民の味方、英雄であった事は間違いない。
結局のところ、ベートーヴェンは「英雄交響曲、ある偉大な英雄の思い出捧ぐ」と書き添えた。

今日、ベートーヴェンの奇数交響曲(1, 3, 5, 7, 9)は大編成のオーケストラをよく鳴らし、偶数交響曲(2, 4, 6, 8)は小編成に適しているとの話をよく耳にするが、ベートーヴェンが初演を行なった時、弦楽器は1stヴァイオリンのみ4人で他のパートは2人しかいない編成であった。当時としてはむしろ一般的な編成であったといえる。

演奏会では室内管弦楽団の特色を生かし、初演に近い編成での演奏を楽しんで頂ければ幸いである。 


第1楽章 Allegro con brio ソナタ形式
決然さを感じさせる2度の強奏からチェロによる第1主題が提示され、様々な動機が描かれる。長大な展開部では第1主題が変化しながら発展を続けていく。再現部では改めて第1主題を再現し、堂々たるコーダによって力強く終わりを迎える。

第2楽章 Marcia funebre: Adagio assai ABACAのロンド形式
葬送行進曲ではあるが、死を悼むというよりは過去との決別を思わせる。1stヴァイオリンとオーボエで主題が提示(A)された後、ハ長調の伸び伸びとした中間部(B)に移る。

ベートーヴェンは後の交響曲第5番『運命』や交響曲第9番『合唱付き』でもハ長調で光が差し込む情景を描いている。今回演奏する『プロメテウスの創造物』も同じハ長調であるが、ハイドンの『天地創造』をこれらの作曲で意識したのではないだろうか。
また、主題提示の裏では「タタタ・タン」という『運命』の動機を伴う。


最後は厳かなコーダで終わりを迎える。 

第3楽章 Scherzo: Allegro vivace 複合三部形式
可変拍子を思わせる部分を取り入れたスケルツォ楽章。中間部はホルン3重奏で勇壮な音楽を奏でる。

第4楽章 Finale: Allegro molto 変奏曲形式
今日ではブラームスの交響曲第4番、終楽章のように目にする機会も多いが、当時は斬新で異例の形式であった。『プロメテウスの創造物』終曲のテーマが流用され、様々な展開を迎える。フガートやフルートのソロを取り入れるなど、決して単調な展開ではない。トルコ行進曲を思わせる変奏などを挟んだのち、テンポを落として過去を回想しているかのような旋律が奏でられる。盛り上がりを迎えたのち、弦楽器と木管楽器によるモーツァルトを想起させる静かな会話が行われる。  


フィナーレでは冒頭部分が再現されたのち、『英雄』の凱旋で熱狂的に終わりを迎える。

2020/02/17

L.v.B.室内管弦楽団第46回演奏会

L.v.B.室内管弦楽団 第46回演奏会

2020年11月8日(日) かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール
13:30 開場 14:00 開演

指揮:
 苫米地 英一

独奏:
 印田 千裕

曲目:
 L.v.ベートーヴェン / ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61
 F.メンデルスゾーン / 交響曲第3番イ短調『スコットランド』

ヴァイオリン協奏曲の「王様」と言えばこの作品61。
チャイコフスキーやブラームス、メンデルスゾーンの作品と共に長く愛されてきた1曲だろう。
翌年作曲される交響曲第5番「運命」のような厳つい「闘争と勝利」のような曲ではなく、どこまでも優雅に抒情的な曲調は、同時期に作曲された弦楽四重奏曲「ラズモフスキー」(第7,8,9番)や、交響曲第4番とのつながりを感じさせる。

「スコットランド」はメンデルスゾーンが着想を得てから完成までに10年を要した作品だ。
民謡などが引用されているわけではなくあくまで旅行中に着想を得たものであるが、どことなくもの悲しい1楽章の出だしは北の大地を思い起こさせる。

フルオケで演奏されることの多い作品であるが、室内オケならではならの意外なサウンドに期待いただきたい。

©︎小島竜生



新型コロナ対策へのご協力をお願いします

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入場料:
 全席自由1,000円(前売800円)
 前売りチケットはイープラスにて取り扱い→イープラス

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会場アクセス:
 京成線青砥駅下車徒歩5分
  →会場アクセス(施設Webサイト)

※弦楽器のメンバーを募集しています→詳しくはこちらをご覧ください


2020/02/10

西山 早紀(ピアノ)

滋賀県出身。PTNAピアノコンペティション全国大会入選/ベスト賞(D〜F級)、大阪国際音楽コンクール第1位(POA部門)、ショパン国際ピアノコンクール in Asia 全国大会金賞、アジア大会奨励賞、メロス国際音楽コンクール(伊)第2位等受賞。

大学在学中、OCCAワンコイン市民コンサートシリーズでリサイタルデビュー。徳島音楽コンクールにて全部門グランプリを受賞し、褒賞として秋山和慶指揮、とくしま記念オーケストラと共演を果たす。ラ・フォル・ジュルネびわ湖や京都芸術祭「世界に翔く若き音楽家たち」に招待される。

これまでにピアノを甲斐環、坂井千春、岡原慎也、中井恒仁、黒田亜樹、室内楽を故多喜靖美、松本裕子の各氏に師事。ウィーン国立音楽大学マスタークラスにてディプロマを取得し、修了演奏会に選出される。

大阪大学薬学部(6年制)卒業、現在は製薬会社で新薬臨床開発に携わる傍ら、イタリア・ペスカーラ音楽院で研鑽を積んでいる。

2020/01/27

【公演中止】L.v.B.室内管弦楽団 室内楽演奏会vol.14

※新型コロナウィルスの影響により、中止させていただくことになりました。5月の演奏会に続き大変残念ではありますが、ご理解のほどお願いいたします。

2020年7月24日(金・祝) かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール
12:30 開場 13:00 開演(予定)
入場無料

曲目:
 G.ロッシーニ / チェロとコントラバスのための二重奏曲ニ長調
 L.v.ベートーヴェン / ピアノ三重奏曲 第4番 変ロ長調『街の歌』 作品11
 G.フィンジ / オーボエと弦楽オーケストラのための間奏曲 作品21
 R.ワーグナー / ジークフリート牧歌
 他

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会場アクセス:
 京成線青砥駅下車徒歩5分
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【公演中止】長野公演(2020)

※新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、中止させていただくことになりました。メンバーも楽しみにしておりましたが、状況が改善しましたらぜひとも実現したいと考えておりますので、ご理解のほどお願いいたします。
2020年5月10日(日) 竹風堂大門ホール
12:30 開場 13:00 開演 予定
入場無料

曲目:
 G.F.テレマン / ホルン組曲 ヘ長調
 J.クレンゲル / 12本のチェロのための賛歌 作品57
 E.ボザ / 4本のホルンのための組曲 ヘ長調
 F.ダンツィ / 木管五重奏曲 変ロ長調 作品56-1
 L.v.ベートーヴェン / クラリネットとバスーンのための3つの二重より2番 WoO.27-2
 L.v.ベートーヴェン / 弦楽三重奏曲第3番 ニ長調 作品9-2
 L.v.ベートーヴェン / ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第5番 ヘ長調 作品24《春》第1楽章
 P.I.チャイコフスキー / 弦楽六重奏曲《フィレンツェの思い出》作品70 
 J.ハイドン / 交響曲第45番嬰ヘ短調 Hob.I:45《告別》

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会場アクセス:
JR長野駅前バスのりば1から約10分、「善光寺大門」下車。

2020/01/25

W.A.モーツァルト/セレナード第11番 変ホ長調 K.375

モーツァルトは生涯で全13曲のセレナーデを残しているが、管楽器だけのために書かれたセレナーデは、第10、第11、第12番と、実は3つしかない。
本日はその管楽セレナーデ三兄弟の次男にあたる第11番を演奏する。

ちなみに第10番は「グラン・パルティータ」、第12番は「ナハトムジーク」といった二つ名を持つ一方、第11番は名無しで、知名度もさほどではないが、この時期のモーツァルトならではの若々しく豊かな色彩を持つ、実に愛らしい作品だ。
1781年に作曲された当初はなんとヘ長調、かつクラリネット、ホルン、ファゴット各二管の六重奏編成だったが、翌年オーボエ二管が加わり、現在の形である変ホ長調の八重奏曲となった。
全5楽章が全て変ホ長調であるというのも珍しいが、同じ調であっても各楽章がそれぞれ違う表情を見せるのは作曲者の天才がなせる技であろう。
各楽器の緻密なメロディの掛け合いや陰翳に富んだ音の対話をお楽しみいただきたい。

第一楽章:アレグロ・マエストーソ 変ホ長調 4/4拍子
第二楽章:メヌエット 変ホ長調 3/4拍子
第三楽章:アダージョ 変ホ長調 2/2拍子
第四楽章:メヌエット 変ホ長調 3/4拍子
第五楽章:アレグロ 変ホ長調 2/4拍子

この曲の演奏会

2020/01/21

W.A.モーツァルト/ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K.453

モーツァルトは作曲家としてだけではなく演奏家としても名声を得ており、古くは映画「アマデウス」で即興演奏をするシーンを思い浮かべる人もいるだろう。
収入のためもあるだろうが教師としても活動し後に台頭するピアノ奏者としてのベートーヴェンとモーツァルトの弟子たちが火花を散らした・・・などという話もあるようだ。

第17番は第14番と共にそんな弟子のひとりであるバルバラ・フォン・プライヤーのために作曲された。
この時期のピアノ協奏曲は中期に分類されるが、注目するべきは管楽器の使い方だろう。
それまでの作品はオーボエやホルンは弦楽器に重ねハーモニーや音色を強調するために使われていたのだが、ついに(管楽器奏者には待望だろう)弦楽器とは独立した楽器群として活躍をする。貴族のサロンで演奏していた時代から、演奏会としてより華やかな、交響的な作品が求められる背景があるだろう。

そんな経緯があるためか、のちの「戴冠式」(K.537)よりもこの時期の作品は通好みのようで、特にこの第17番をモーツァルトの最高傑作とする人もいるようだ。

第1楽章:Allegro
奇をてらわず一音の無駄もないソナタ形式の楽章はモーツァルトにしか残せない世界が広がる。のちにベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番ト長調はこの曲を手本にしたとか。

2楽章:Andante
ピアノの優雅な歌はショパンの音楽を先取りするような美しさであり、そして管楽器の美しい歌が聴きどころ。後にメシアンは「モーツァルトの名を不滅のものにする」と讃えた。

第3楽章:Allegretto - Presto
オペラの一幕のような軽快な楽章は当時モーツァルト家に仲間入りしたムクドリにインスピレーションを受けたとの話も面白い(3年程飼ったそのムクドリに追悼曲を残した)。モーツァルトの作品の終楽章はロンド楽章が定番なのだが、これは変奏曲風に進行し、最後の長いコーダはまるでパレードのような華やかさでさぞかし演奏会を盛り上げたことだろう。

2020/01/17

L.v.ベートーヴェン/エグモント序曲Op.84(ホルン八重奏)

ベートーヴェンの生誕250年にあたる今年。かの楽聖の名を戴く当団としては、室内楽演奏会といえどもその作品は外せない、ということで、ホルンアンサンブルで演奏するのはベートーヴェン中期の名作、劇音楽「エグモント」op84 より序曲となります。この劇音楽は序曲が大変に有名ですが、その他に、物語の進行に沿った9曲の小曲があり、それらを合わせて一つの作品となっています。


劇音楽の題材となった「エグモント」の物語は、スペイン(ハプスブルク帝国)治下のネーデルラントで、その圧政に対して立ち向かった実在の人物、エグモント伯を描いています(序曲の冒頭で提示され、主部でも何度も現れるリズム動機は、スペインの舞曲「サラバンド」を連想させるもので、スペインの圧政を示しているとも言われます)。

物語の最後、エグモント伯は牢につながれ、斬首の刑に処されることとなります。しかし、その精神は死後も讃えられ、後世へとつながっていくことを確信するかのように、高揚感のある勇壮な音楽「勝利の交響曲」を背景にエグモント伯は死刑台へ歩んでいきます(この音楽は、序曲のコーダにそのまま引用されています)。

オーケストラで演奏する際は、優しく慰めるような響きの木管、ヒロイックな金管、雷鳴のように轟くティンパニや低弦、焦燥感あふれる悲壮なメロディを奏でるヴァイオリンやヴィオラ、高潔な精神の勝利を表すコーダのピッコロの煌めき、などなど、多様な楽器が組み合わさって世界を作りますが、今回の演奏ではホルン8本のみ。表現力を磨く機会と、悪戦苦闘しながら演奏致します。しかし、ホルンが重なって紡ぐ重厚なハーモニーは、この曲のテーマを表すのに最適なのかもしれません。どうか楽しんでお聴き下さい。

この曲の演奏会

F.ラハナー/セレナード

Franz Lachner(1803-1890)は、ドイツの音楽一家に生まれた作曲家、指揮者である。多作な作曲家であったと言われているが、現在ではほとんど知られていない。彼の作曲は、ベートーヴェンやラハナーの友人であるシューベルトの影響を受けていると言われており、オルガンソナタや弦楽四重奏などの室内楽曲が比較的有名らしい。
本日演奏するセレナーデは、演奏機会は非常に少ない。動画サイトや流通しているCDでも、その演奏を聴けることは稀である。今回はそんな曲を取り上げる。

第1曲 Andante
チェロアンサンブルらしい、広い音域と重厚な響きが活かされている。どこか哀しい伴奏とメロディーが綺麗な曲である。

第2曲 Allegretto ma non troppo
第1曲よりも明るく、少し軽快な曲である。時折不思議な響きをみせる和音に乗せて、高音域のメロディーを歌う。

画像はWikipediaより

この曲の演奏会

2020/01/08

J.ハイドン/弦楽四重奏曲第76番ニ短調 op.76-2《五度》

「交響曲の父」と呼ばれるフランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)。
本人の作といわれるもので108曲、偽作も含めると120曲もの交響曲を作曲している。
ロマン派以降の作曲家が生涯に数曲しか残していないことと比較すると、時代の違いはあるにせよ膨大な数であり、全曲を演奏した奏者はなかなかいない。

それだけではなく弦楽四重奏曲も80曲以上残している。
「ひばり」「騎士」「皇帝」などタイトル付きの作品は特に親しまれ、この「五度」も演奏機会の多い人気曲だ。
「皇帝」「日の出」などと一緒にエルデーディ伯爵の依頼で作曲されたことでエルデーディ四重奏曲などと呼ばれ、60歳を越えてなお意欲的なハイドンの名作たちだ。
作曲されたのは1797年、モーツァルトは6年前(1791年)に世を去り、ベートーヴェンはまだ27歳、初期の作品群の時代で、2年後の1799年になりようやく弦楽四重奏第1番、交響曲第1番が世にあらわれるという時だ。

曲名の由来はその通り「五度」の音型で主題がベートーヴェンのごとく執拗に繰り返されることによる。

五度の音楽は音楽的にはとても古い時代の手法で、多くの作曲家は多用することを好まないような話も聞く(和声学的には異端らしい?)。
後に三度・六度の和音が流行し、対位法へと発展していく時代の中で再び五度の音楽を取り入れたのはベートーヴェンだという話もあるようだ。

有名なのはなんといっても「第9」の冒頭。
ホルン、バイオリン、チェロにより響く五度の和音による最後の交響曲で新しい世界を切り開いた・・・わけではなくはるか昔の音楽を復活させたものが一周回って新しく聞こえているわけだ。

また「五度」の1楽章ではときおりオリエンタルな雰囲気を感じるときがある。
日本人の感覚だからなのかとも思ったが、調べてみればバルトークやヤナーチェクも用いているのでそれほど外れた感想ではないだろう。

そんなわけで「なぜ五度の音楽が新鮮に聞こえるのか」を考えながら聴いてみるのも面白い曲だろう。


この曲の演奏会
室内楽演奏会 vol13

L.v.ベートーヴェン/バイオリンとチェロのための3つの二重奏より1番 WoO27-1

アンサンブルの最小単位の二重奏。
高音域のバイオリンと低音域のチェロの組み合わせ。
ですが、メロディはバイオリンだけでなく、チェロにも乗り換えながら曲は進みます。二重奏なので、奏者にも聞き手にも、入れ替えが分かりやすくできています。
曲の構成は3楽章。
軽快で明るい1楽章で始まり、ゆっくりで少し陰鬱な短い2楽章を挟んで、最後は、軽快で明るい3楽章で終わります。

実は、WoO27は、クラリネットとバスーンの組み合わせがオリジナルで、今回は、バイオリンとチェロの二重奏に編曲した譜面を使っています。
そのため、管楽器では通常はない、同時に複数の音を出す部分など、編曲であるためにオリジナルとは違った楽しみがあると思います。

さて、今回のこの曲はクラシックの曲名でよく見る「Op」ではなく「WoO」の番号が付いています。
WoOとはドイツ語で「Werke ohne Opuszahl」。
日本語にすると「作品番号のない作品」つまり、作曲家本人ではない他の人が何かしらの根拠をもとに付けたものです。

ですが、この曲が「Op」ではなく「WoO」が付いているのは、習作だから付けなかったのではなく、偽作ではないか?という疑いがあります。その判断を難しくしているのが、この第1楽章の冒頭にあるメロディが、ベートーヴェン作曲で”春”という愛称で親しまれている、「バイオリンソナタ第5番op.24」の始まりと似ている点の捉え方です。
似ているというのは、ベートーヴェン自身が後で引用した、と素直に考えられる一方、これをモチーフとして他の誰かが作曲したのではないかという指摘。同時代に活躍した、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、などの作曲家たちは、お互いに影響を受けたり、場合によっては師弟関係があったという当時の環境からです。

なお、ベートーヴェンがこの曲を作曲したという確たる証拠(自筆譜など)が無
いらしいとのことが、偽作の疑いを晴らせない原因の一つにあるそうです。

この曲の演奏会
室内楽演奏会 vol13