ハイドンは全部で6曲のチェロ協奏曲を作曲したといわれているが、紛失や偽作のため今では2曲が残っている。1番は1961年にプラハで楽譜が発見され、一気に知られるようになり、今ではチェロレパートリーとして定着している作品。今回はその1番より第1楽章をチェロ六重奏版でお届けする。
第1楽章は協奏風ソナタ形式の楽章、ソロとトゥッティを鋭く対比させており、バロック時代のリトルネロ形式の痕跡が残る。
オーケストラのトゥッティでCdurの和音から華やかに躍動感ある第1主題が演奏され、第2主題は第1ヴァイオリン(1stチェロ、2ndチェロ)を中心として緩やかに下降する。再度トゥッティで小結尾のメロディが演奏され、オーケストラの呈示部が終わる。続いて独奏呈示部になり独奏チェロが登場する。
展開部では,まず属調で両主題と小結尾のメロディが演奏され、続いて独奏チェロが技巧的に呈示部の素材を発展させていく。再現部も独奏チェロ中心に進行し、カデンツァの後、トゥッティによる華やかなコーダで結ばれる。