その中から今回はピアノ四重奏曲第1番をお届けする。この曲は1875年に作曲されたものであるが、これまでのシューベルト、ワーグナー、リスト、スメタナなどの影響を受けた作風から、ドヴォルジャーク独自の良さが発揮されるようになった時期である。この頃ドヴォルジャークはオーストリア政府の芸術家のための国家奨学金の受賞者に選ばれており、不安定な生活から脱却できただけではなく、審査員のブラームスから才能を見出されその後の人生に大きく影響を与えた転機となる時期でもあった。
第一楽章 Allegro moderato
冒頭からメロディーメーカーとして面目躍如な導入は美しく、しかしどこか寂しさ、愁いを含む。全曲を通して劇的な盛り上がりを聴かせるのではなく、牧歌的な美しさ、望郷の思い、そしてふと思い出す旧友とのエピソードが感じられる。
第二楽章 Andantino, con Variazoni
変奏曲形式となっており、5つのバリエーションとコーダから成り立っている。民族音楽的なテーマが、それぞれのバリエーションで美しくかつ異なる表情を体験させてくれる。
変奏曲形式となっており、5つのバリエーションとコーダから成り立っている。民族音楽的なテーマが、それぞれのバリエーションで美しくかつ異なる表情を体験させてくれる。
第三楽章 Finale
優雅な美しいメロディと活気ある急速なテンポを伴う曲調が交互に現れる、気分の変化の表現を特色とするスラブ民謡の形式を用いた楽章となっている。終盤は弦パートとピアノが異なる拍子で音楽が進み(2/4と6/8、その後入れ替わり6/8と2/4になる)、巧みな遊び心のあるエンディングとなっている。
優雅な美しいメロディと活気ある急速なテンポを伴う曲調が交互に現れる、気分の変化の表現を特色とするスラブ民謡の形式を用いた楽章となっている。終盤は弦パートとピアノが異なる拍子で音楽が進み(2/4と6/8、その後入れ替わり6/8と2/4になる)、巧みな遊び心のあるエンディングとなっている。