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2019/03/16

R.シュトラウス / 13管楽器のためのセレナード 変ホ長調 作品7

R.シュトラウスと言えば、「薔薇の騎士」「ドン・ファン」「ツァラトゥストラはかく語りき」などなど大編成オーケストラで豪華絢爛な音楽、それから歌曲のイメージがあるだろうか。
実際、室内楽や協奏曲は初期にいくつかあるだけで演奏される機会はそう多くないかもしれない。
そんな中で、この「セレナーデ」は作品番号の通り初期の10代のころの作品だが「R.シュトラウスの代表的な室内楽曲」としてよく演奏され、彼の名を世に知らしめた出世作でもある。

「セレナーデ」とはもともとは女性を想って夜にリュートを鳴らすような音楽で、遡ると古代ギリシアの時代から続く音楽、らしい。
もっとも有名なセレナーデはなんと言ってもモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」だろう。この曲は野外での演奏ではなく、演奏会のための管弦楽曲の形式となりつつある時代で、のちにブラームスが作曲した2つのセレナーデも夜を想う音楽、というよりは古典的な形式の管弦楽曲、と言えるだろう。

一方でこのリヒャルトの作品は(どこの時代にするかにもよるが)本来の、夜に意中の女性を想って、というテーマで作曲されている。具体的にだれを、というのはないようだが、10代の若者が恋するとしたらご近所、あるいは親戚筋の年上の女性、などとは小説の読みすぎだろうか。
純粋に音楽を楽しむには邪道かもしれないが、恐妻家として後に知られるリヒャルトの若かりし頃を想像しながら聴くのもまた楽しみとなる曲である。

ところで、「セレナーデ」は日本語では「小夜曲(さよきょく)」と書くことがある。
昔は「アイネ(ある)・クライネ(小さな)・ナハト(夜の)・ムジーク(音楽)」の訳と習った記憶なのだが、現在ではセレナーデ一般を指すようだ。
先達たちはなんとも詩的な名前をつけたものだといつも感心させられる。

この曲の演奏会
第43回演奏会