バッハの「シャコンヌ」といえば、無伴奏ヴァイオリンの名曲中の名曲ですが、今回演奏するヴィオラ四重奏版は、「ヴィオラスペース2000」の委嘱により野平一郎氏が編曲、現在ではヴィオラ・アンサンブルの定番曲となっています。
「シャコンヌ」とは、新大陸からスペインに伝わり、17~18世紀に愛好された、ゆるやかな3拍子の舞曲です。もともとは、決まった低音の上に演奏者などが自由に装飾を加える曲として、ギター伴奏と歌を伴って官能的に踊られていたようですが、バッハの時代には形式だけが残り、低音を主題とした変奏曲として作曲されるようになりました。
バッハが35歳の時、『無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 二短調』の終楽章として作曲された「シャコンヌ」は、8小節(4小節とも)でテーマが示された後、様々な変奏が30回繰り返され、最後にまたテーマが現れます。ヴァイオリンという楽器の可能性を最大限に引き出し、多くの技巧をちりばめながらも、同時に深い精神性、崇高さをも兼ね備えた壮大な音の建築物のような作品です。
この曲は、ブラームスをはじめ、後の多くの作曲家を刺激し、ピアノ版からオーケストラ版まで、様々な楽器のために編曲され、広くレパートリーとなっています。ヴィオラで演奏する「シャコンヌ」は、ヴァイオリンより5度低い分、しっとりとした深みのある音色を味わっていただけるのではないかと思います。
この曲の演奏会
室内楽演奏会vol.8