日本では明治帝の皇太子(大正天皇)のご誕生に沸き、滝廉太郎が生まれた明治12年(1879年)、サン=サーンス44歳の時にこの作品は作曲されました。
その楽器編成は当時でも今でも、とても珍しくピアノと弦楽五重奏にトランペットを加えた編成です。
全4楽章で20分弱程度の作品ですが、シンプルで古風なバロック的構成の中にもフランス風な洒落たメロディーにあふれています。
1867年にE・ルモワーヌが設立した室内楽協会「ラ・トロンペット」のために書かれ彼に献呈されています。
第1楽章 序曲(Preambule) アレグロ・モデラート 変ホ長調 4分の4拍子
堂々とした序奏に始まりアレグロの主部につながります。展開部では3楽章の主題も聞かれ短いながらも先の展開を予測させる楽章です。終結部では華やかな変ホ長調の分散和音も聞きどころです。
第2楽章 メヌエット(Menuet) モデラート 変ホ長調 4分の3拍子
古典的スタイルの典型的なメヌエットです。中間部はユニゾンで奏でられる、いかにもサン=サーンスらしい美しい旋律が印象的な楽章です。 どこか動物の謝肉祭を想わせるメロディーです。
第3楽章 間奏曲(Intermede) アンダンテ ハ短調 4分の4拍子
全曲の中で唯一の短調の楽章です。
1楽章で提示された主題が展開されていきます。美しくも悲しき旋律を惜しみ後ろ髪を引くかのような第2主題が印象的です。
第4楽章
ガヴォットとフィナーレ(Gavotte et final) アレグロ・ノン・トロッポ 変ホ長調 2分の2拍子
前半は、ピアノと弦楽器による軽快なガボット(古典舞曲)が続きます。 中間部からトランペットが印象的な信号ラッパの音を鳴らしながら盛り上がっていきます。
曲は速度を上げながら盛り上がっていき一気に終わります。
ちなみにサン=サーンスの名曲、ヴァイオリン協奏曲第3番は翌1880年の作曲です。(Trp. S)