2018/04/12

L.v.ベートーヴェン/序曲 ハ長調 Op.115 《命名祝日》

「命名祝日」序曲はオーストリア皇帝フランツ1世の祝日のために作曲された曲だ。
「ハプスブルク帝国」に連なり、神聖ローマ帝国最後の皇帝フランツ2世として1792年に即位し、フランス革命とナポレオンの台頭により1794年にフランス革命戦争がはじまると第一次対仏大同盟に参加する。
1804年にフランツ2世はオーストリア帝国の皇帝フランツ1世として即位するが、1805年の三帝会戦(アウステルリッツの戦い)で敗北し神聖ローマ帝国の皇位を放棄、神聖ローマ帝国は滅亡する。
しかし引き続きオーストリア皇帝としては活躍し、宰相メッテルニヒやナポレオンに嫁いだマリー・ルイーズといった人物が知られている。

同じくフランツ1世のために作曲された曲としてはハイドンの「神よ、皇帝フランツを守り給え」が知名度としては圧倒的だろう。弦楽四重奏曲「皇帝」の一曲として、また神聖ローマ帝国以降の国家として、歌詞や編曲をされながら受け継がれ現在でもドイツ国歌として歌われている(ただし法律で決まっているわけではないらしい)。

「命名祝日」は時期としては中期に属する作品であるが、後期の作品を思わせる展開と、何よりのちの「第9」で用いられる「歓喜の歌」が聴こえてくる。交響曲第8番以降スランプに苦しむベートーヴェンが何かきっかけをつかんだ作品、かもしれないと思うと演奏の機会に恵まれないこの作品が一転思わせぶりなものになる(この曲の翌年1816年ごろからがベートーヴェンの「後期」の作品と言われることが多い)。

この曲の演奏会
第41回演奏会