2015/01/11

F.メンデルスゾーン-B/弦楽四重奏曲第6番 ヘ短調 作品80

メンデルスゾーン(1809 – 1847)はドイツに生まれた作曲家・指揮者であり、結婚行進曲で有名な「真夏の夜の夢」、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第4番「イタリア」などの作品が知られています。幼少期からその音楽の才能を発揮しており、9歳で演奏会に出演、12歳で「弦楽のための交響曲」を作曲しているなどの記録からも、神童として知られていたことが見て取れます。メンデルスゾーンは約38年の生涯の中で、番号付きの弦楽四重奏曲を6曲作曲しています。その中でも最後、晩年に作曲された作品が、本日演奏する弦楽四重奏曲第6番です。

この曲は作曲の約2か月前、心の支えでもあった姉ファニーの訃報に接し、悲しみにくれながら作曲されたと言われています。こういった背景があったためか、メンデルスゾーンの作品としては異色の、激しく悲痛な音楽となったと考えられています。

第1楽章は冒頭から不安と焦燥を表す第1主題から始まり、悲劇的な叫びともいえる旋律がヴァイオリンにより演奏され、緊張感を保ったまま進んでいきます。第2楽章は暗いスケルツォであり、中間部ではヴィオラとチェロにより不気味な音型が奏されます。第3楽章は本作品で唯一の長調の楽章で、懐かしさと切なさが感じられます。第4楽章はソナタ形式で書かれており、冒頭ではチェロの伴奏の上で主題が提示されて始まります。曲を通じてこの主題が繰り返され、コーダではヴァイオリンによる3連符で装飾されながら、激しい曲調のまま全曲を結びます。