2015/01/28

広井隆(指揮)

東京藝術大学指揮科卒業。
在学時より、二期会オペラの指揮者として研鑽を積み、 1975年、東京室内歌劇場公演でブリテンの教会オペラ「カリューリバー」を指揮してオペラデビュー。以後、二期会、日本オペラ協会の指揮者として古典から現代邦人に至る数多くの作品を手がける
 また東京交響楽団をはじめ、多くの管弦楽団の指揮者として、幅広く意欲的な活動を続けている。
1985年、社会文化協会の派遣により訪中。日本伝統音楽訪華使節団指揮者として、北京、西安にて公演し好評を得る。 三石精一、金子登、エルヴィン=ボルン、渡邊暁雄、山田一雄氏に師事。
1974年安宅賞受賞。日本指揮者協会会員。日本演奏家連盟会員。
2011年夏、韓国で開催されたアジア知的障害会議に於いて若竹ミュージカルの活動が認められ、 同連盟よりStar Raft Award(星槎賞)を贈られる。

2015/01/26

L.v.B.室内管弦楽団第34回演奏会

L.v.B.室内管弦楽団第34回演奏会

2015年6月21日(日) ルーテル市ヶ谷ホール
18:00 開場 18:30 開演

指揮:
 苫米地 英一

独奏:
 大波 陽平

曲目:
 L.v.ベートーヴェン/バレエ音楽《プロメテウスの創造物》Op.43より序曲
 R.G.シュトラウス/ホルン協奏曲第1番 Op.11
 G.マルトゥッチ/夜想曲 Op.70 Nr.1
 F.メンデルスゾーン-B/交響曲第5番《宗教改革》ニ長調 Op.107

入場料:
 全席自由1,000円(前売800円)
 →チケットはイープラスにて取り扱い

LvBでは初の会場となるルーテル市ヶ谷です。
その名の通りメンデルスゾーンの属していたルーテル派の教会になります。

今回は2回目の演奏となる《宗教改革》をメインに、若きリヒャルト・シュトラウスの作品であるホルン協奏曲、ベートーヴェンの数少ないバレエ音楽であるプロメテウスの序曲、そして最近名前が知られて来たマルトゥッチを演奏します。

マルトゥッチはメジャーな作品こそないものの、レスピーギの師でありまたワーグナーの作品のイタリア初演に尽力した人物として知られるイタリアの作曲家です。
歌劇は作曲していませんが交響曲やピアノ協奏曲が残されており、かのトスカーニがよく作品を取り上げていました。


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会場アクセス:
 JR総武線  地上出口 徒歩7分
 都営地下鉄  新宿線  A1 出口 徒歩7分
 東京メトロ  有楽町線   5,6番出口 徒歩2分
 東京メトロ  南北線   5,6番出口 徒歩2分

2015/01/11

F.メンデルスゾーン-B/弦楽四重奏曲第6番 ヘ短調 作品80

メンデルスゾーン(1809 – 1847)はドイツに生まれた作曲家・指揮者であり、結婚行進曲で有名な「真夏の夜の夢」、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第4番「イタリア」などの作品が知られています。幼少期からその音楽の才能を発揮しており、9歳で演奏会に出演、12歳で「弦楽のための交響曲」を作曲しているなどの記録からも、神童として知られていたことが見て取れます。メンデルスゾーンは約38年の生涯の中で、番号付きの弦楽四重奏曲を6曲作曲しています。その中でも最後、晩年に作曲された作品が、本日演奏する弦楽四重奏曲第6番です。

この曲は作曲の約2か月前、心の支えでもあった姉ファニーの訃報に接し、悲しみにくれながら作曲されたと言われています。こういった背景があったためか、メンデルスゾーンの作品としては異色の、激しく悲痛な音楽となったと考えられています。

第1楽章は冒頭から不安と焦燥を表す第1主題から始まり、悲劇的な叫びともいえる旋律がヴァイオリンにより演奏され、緊張感を保ったまま進んでいきます。第2楽章は暗いスケルツォであり、中間部ではヴィオラとチェロにより不気味な音型が奏されます。第3楽章は本作品で唯一の長調の楽章で、懐かしさと切なさが感じられます。第4楽章はソナタ形式で書かれており、冒頭ではチェロの伴奏の上で主題が提示されて始まります。曲を通じてこの主題が繰り返され、コーダではヴァイオリンによる3連符で装飾されながら、激しい曲調のまま全曲を結びます。

2015/01/08

モーツァルト/クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581


この曲は、モーツァルトの親友のクラリネット奏者で当代随一の名手であったアントン・シュタットラーのために作曲されました。モーツァルトの死の2年前の1789年に作曲されており、円熟期の作品といえますが、最晩年のクラリネット協奏曲とは異なり、死の影を感じさせるような独特の雰囲気はあまりなく、優美で明るく、甘味な作品となっています。

 クラリネットは音域により音色が異なる特徴をもっていて、大きく分けると低音部(シャリュモー音域)はややくすんだ深みと翳りのある音、高音部(クラリオン音域)は艶やかで明るい音となっています。この曲では両者を効果的に対比させ、クラリネットの音色を聴く人に深く印象づけています。特に低音域はシュタットラーが特に好み、わざわざ通常よりも低い音の出る楽器を特注して使うほどだったらしく、モーツァルトはこの曲で低音部の深々とした響きを随所にとりいれています。


第1楽章はソナタ形式、第2楽章は3部形式で、甘味な旋律が印象的、3楽章はメヌエットと2つのトリオからなり、4楽章はアレグレットの快活な主題が様々な表情に変奏されます。

2015/01/07

J.イベール/木管五重奏のための3つの小品

イベールはフランス、パリ生まれの作曲家ですが、実は日本との関わりがあります。
1940年に日本からの依頼でフ ランス政府を通じ、日本の皇紀2600年奉祝曲「祝典序曲」を作曲しています。

今回演奏する「木管5重奏のための3つの小品」はその10年前、1930年に作曲されました。
この曲は、中学校の吹奏楽部から社会人まで幅広く人気のある 曲で、演奏頻度も高い曲の一つです。この人気の理由は、オシャレな曲風にあると言えます。

1曲目の始まりは、記譜では2/4拍子ですが、まるで3拍子であるかのように聞こえる工夫がされています。ぜひ、曲の始まりに注意して聞いてみてくださ い。その後は、このオシャレな曲風を演出するべく、各楽器の魅力が順番に現れ、とても華やかな曲になっています。最後まで遊び心の溢れた、聞いている人 も、演奏している人も大変楽しめる作品です。

2曲目は、フルートとクラリネットの美しい二重奏から始まります。3曲の中で最も短い曲ですが、後半からオーボエ・ホルン・ファゴットが加わり、曲の世界 が広がっていきます。そうかと思うと、そのまま静かに終わってしまうこの曲の雰囲気を気に入る人は多いのではないでしょうか?

3曲目は3拍子と2拍子を繰り返したり、テンポに変化があったりと、聞いているだけでもすごく楽しめる曲です。それだけに、演奏者同士のタイミングの合わせ 方にも、ぜひ注目してみてください。

J.M.ラヴェル(M.ジョーンズ編)/『クープランの墓』

L.v.Bでは2013年3月の第28回演奏会や、遡っては2002年にもラヴェル本人の編曲による管弦楽版をお届けしていますが、今回は木管五重奏…広く演奏されているM.ジョーンズの手による編曲版です。

  ラヴェルが第一次世界大戦後1917年に完成させたピアノ独奏曲は「Prelude」プレリュード、「Fugue」フーガ、「Forlane」フォルラー ヌ、「Rigaudon」リゴドン、「Menuet」ミニュイ、「Toccata」トッカータ、の6曲から成る組曲。これを1919年に、友人であり 第 6曲「Toccata」を捧げた音楽学者J.マルリアーヴ大尉の寡婦…戦争未亡人となっていた女流ピアニスト、マルグリット・ロンにより初演しています。 それを同年にオーケストレーションしたのが「Prelude」「Forlane」「Menuet」「Rigaudon」の4曲。ジョーンズ編の五重奏で は、管弦楽版から1曲チェンジがあり「Forlane」に代わって「Fugue」が入った4曲となっています。

  この曲は、戦争レクイエムの側面があります。組曲の1曲ごと全てに、戦争で亡くなった友人の名前と階級を添えて捧げています。非常に愛国心の強かったラ ヴェルは、開戦前に書き始めた「18世紀フランス音楽を讃える舞曲集」の筆を中途で物資輸送車の運転手として従軍しました。そして終戦時、多数の友人が戦 死し最愛の母も病没していましたが、自分は生き残ってしまった…。ノルマンディーに引きこもって再びピアノに向かったとき、作曲開始当初の気分からは様 変わりした形での意味合いをも持つ組曲が仕上がりました。

 優しく、そこはかとなく哀しい舞曲集に密やかに籠められた、悼み。と共に『活き活きと(vif)』という指定が何度も譜面に出てきますが「今を生きなくては、前を向いて」という吹っ切る覚悟のようなものも感じられます。

  ピアノ版もラヴェル最後の独奏曲として難易度がとても高いと言われますが、管弦楽版も「オーボエ吹きの墓」の揶揄のみならず木管泣かせの難曲です。それを更に5本に凝縮するわけで、言わずもがなの難易度ではありますが…各曲の持つ雰囲気、ストーリーや色が、少しでも聴く方に伝わり思い浮かぶような演奏が出 来たら幸いです。