2014/10/13

J.M.ラヴェル/組曲「クープランの墓」

ラヴェルの作品で人気のある作品・・・を選ぶのはなかなか大変です。

個人的には「ボレロ」と「弦楽四重奏曲」を挙げたいと思いますが、「展覧会の絵」「亡き王女のためのパヴァーヌ」「ダフニスとクロエ」「左手のためのピアノ協奏曲」などなど、アマオケでも数多く選曲されています(そしてどれも難しい・・・)。
 
この「クープランの墓」も人気曲の一つですし、ラヴェルは編成の大きな曲が多いのでLvBのような室内管弦楽団では重要なレパートリーになります。
 
作曲されたのが1914-1917年とされ、そのきっかけが第一次世界大戦(1914-1918年)と言われています。
 
ラヴェルは1907年の歌曲集「博物誌」(師であるフォーレには理解されなかった作品と言われます)、「スペイン狂詩曲」、「ダフニスとクロ エ」で名を挙げてつつありましたが、大戦で親しい友人を亡くしその追憶のために「クープランの墓」を書き上げる中に、さらに最愛の母親も世を去るとこの 「クープランの墓」を最後にほとんど作品を書けなくなってしまいます(母マリーの死は1917年1月、「クープランの墓」の完成が同年11月)。
 
事実、「水の戯れ」などピアノ曲で知られるラヴェルとしては早くも最後のピアノ独奏曲となっています。
 
初演でラヴェルの墓であればなおよし、と皮肉にしてはいまいちなコメントを残したメディアもあったようですが、実際ラヴェルはこの作品のあと創作意欲が極端に衰え、さらに言語障害・記憶障害を発症、交通事故で悪化させると全く作曲できなくなってしまいます。
もとはピアノ曲の「クープランの墓」は管弦楽編曲をされた際に、オーボエの難曲として(少なくともアマチュアオーケストラ奏者の間では)その名を轟かせています。
 
ピアノの原曲を聴くと実に軽やかに演奏をしているのですが、これをラヴェルの時計仕掛けのような編曲で演奏するのはかなり大変で、オーボエ奏者が泣きながらさらうのを陰ながら応援する曲となります。
 
「展覧会の絵」や「亡き王女のためのパヴァーヌ」もそうですが、ピアノ演奏も管弦楽版に劣らぬ魅力がありますので、ぜひそちらも聴いていただければと思います。